October 02, 2008

小泉氏の世襲。

この人の性(さが)は“心底から”腐っている

http://news.biglobe.ne.jp/politics/gen_081002_0193737072.html

●自分の人気のあるうちに議員利権を継がせるのが目的

 政界引退を表明した小泉純一郎元首相(66)が27日、公の場で次男進次郎(27)を後継に指名した。


「私が初めて立候補したときよりしっかりしている」と紹介し、世襲批判には「親バカかもしれないが、私も普通の親」と開き直った。


 こんな小泉の引退に「引き際が潔い」「権力に執着しない」「小泉流の美学」といったお追従が聞かれるが、これほど醜悪な引退劇も珍しい。マトモな人間なら、子供を後継から外すものだ。


 政治評論家の有馬晴海氏が言う。


「小泉さんは、構造改革で自由競争を徹底し、国民には“痛みが伴う”と犠牲を強いてきました。しかし、自分の子供は別。競争なしで後継に据え、痛みを感じなくてすむように取り計らったわけです。郵政造反議員には問答無用で刺客をぶつけたのに、身内になるとまるで違う。改革を看板にしてきた小泉さんなら、世襲はやらないと言うべきです。それがこれでは拍子抜け。小泉さんの汚点です」


 進次郎は関東学院大を卒業後、米国に留学し、ワシントンの戦略国際問題研究所に入った。が、だれも実力が認められて就職したと思っていない。髪形はライオン気取りらしいが、我が子は千尋の谷に突き落とさなかった。小泉が突き落としたのは、赤の他人の国民だけだ。


 こんな私欲にまみれた卑怯な政治家を許していいのか。


「小泉人気が残っているうちは、だれも次男坊を無視できません。それも計算しているのでしょう。実際、小泉さんは議員を引退しても政治活動は続けると言っています。影響力を保持しながらの方が、利権も何もかも息子に譲りやすいですからね」(永田町関係者)


 小泉選挙区の神奈川11区では、新党日本の田中康夫氏の出馬が取りざたされている。小泉4代目の誕生なんて冗談ではない。


(日刊ゲンダイ2008年9月29日掲載)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 02, 2008

原油価格の高騰について。

なぜ高騰するかについての概略的な説明が「All About」にあったので引用します。


    複雑な要因が絡む今回の原油高

原油価格は昨年以来高騰が続いています。原油価格の高騰はガソリンや灯油の価格など日常生活にも影響を及ぼしています。ガソリン価格が上がって仕事に支障が出ている方や、灯油価格の上昇で家計が直撃されている方も多いでしょう。また燃油サーチャージという形で航空運賃にも金額が加算され、旅行が好きな方も影響を受けています。

石油価格の上昇というと1970年代の石油ショックが思い出されますが、あの時は産油国の生産抑制という明確な原因がありました。しかし、今回の原油高はちょっと原因のつかみどころがないですね。

ここで改めて物の値段の決まり方を考えて見ましょう。商品の値段は、基本的には需要と供給のバランスで決まります。価格が上がっているのは、需要が増えて供給が減っているからなのです。今回の原油高でも、その基本は変わりません。

今回の原油高の原因として考えられるものは、以下のような要因です。

1、中国やインドなど新興国の経済発展 - 需要の上昇
2、産出国の生産能力の停滞 - 供給はそのまま
3、ハリケーンの被害 -供給の低下
4、
投機的資金の流入 - 需要の上昇

では、これらの要因を詳しく解説してみましょう。

1.中国やインドなど新興国の経済発展

近年では中国やインドなどの新興国が発展を続けていて、発展とともに原油の需要も拡大しています。特に中国の原油需要は急増していて、中国はすでに日本を抜いて世界第二位の石油消費国になっています。

この要因はなかなか解消できるものではありません。一度石油を消費するようになってしまった国は、元に戻ろうとしても難しいのです。日本やアメリカなどの先進国が石油消費量を減らすことは難しいでしょう。こういった要因を考えると、原油が90年代のような低水準に戻ることは難しいかもしれません。

2.産出国の生産能力の停滞

主要な原油産出国であるOPEC(石油輸出国機構)諸国の産出量は伸びていません。この原因としては、80年代から90年代にかけて原油がとても安かったことが挙げられます。原油が安くて十分供給されていたので、それ以上生産を増やす必要はないと産出国が判断したためです。

現在の原油高を解消するために生産を増やせればよいのですが、なかなかそうもいきません。というのも、有力な産油国であるイラクで政情が不安定な状態が続いているからです。テロリストによる石油関連施設破壊なども起こっており、政情の安定なしでの増産はリスクが高すぎるのです。

しかし2月7日、世界最大の産油国であるサウジアラビアが、今後5年間で石油精製能力を5割増強すると発表しました。またアメリカ、中国、韓国なども石油の増産を発表しています。

これらが実行されれば、今後少しは原油事情も改善されるでしょう。ただ中東の情勢は不安定であり、決して予断を許しません。アメリカがイランを攻撃したりしたら、また原油価格は高騰することになります。

3.ハリケーンの被害

去年の夏にアメリカを連続して襲った超大型ハリケーンカトリーナリタ。この2つによって、メキシコ湾岸の製油所が大きな被害を受けました。ハリケーン上陸直後は、アメリカ全体の25%の生産が停止したとされています。

しかし現在では被害にあった製油所もかなり生産を再開していて、その影響はあまり残っていません。この要因については2006年はあまり関係ないでしょう。

4.投機的資金の流入

今回の原油高の一番大きな原因とも言われているのがこれになります。原油価格は将来的にも上昇すると考えている人たちが、原油の現物や先物商品を「買い占め」しているということです。

1973年の石油ショックではお店からトイレットペーパーが消えたと言われていますが、これは商品そのものがないというよりも、不安になった日本人が「買い占め」をしたためなのです。

今回の原油高も、「将来は原油が高くなるから先物を買っておこう」と考えた人たちが多くの原油を買っているために値段がつり上がっているのです。

こういった投機的買い占めは、将来の価格上昇が見込まれる時期だけに行われます。その見通しがなくなってくれば、買い占めもなくなり原油価格は自然と下がってくるでしょう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 02, 2008

『靖国 YASUKUNI』(追記)

エイプリルフールももうすぐ終わるので、少し真面目な話。

中国人監督が靖国神社の10年間をつづった映画『靖国』が上映自粛に追い込まれているとのニュースを聞きました。どうやら文化庁がこの作品に助成金を出して「援助」したことに対して、あるマスコミが「反日」だと報道して、これを確認すべく自民党の一部議員が「本当に助成が適切なのか」と異例の試写会をしたとのこと。おそらくこの一部の国会議員につり出される形で右翼が食いついてきたんでしょう。
http://news.goo.ne.jp/topstories/politics/20080309/252cb40328ff487bdbc7b0bcd8eaec50.html?fr=RSS


『靖国』ホームページも、存在だけはグーグル先生が教えてくれていますが、その中身は削除(非公開)されていますね。
http://www.google.co.jp/hws/search?hl=ja&q=%E6%98%A0%E7%94%BB%E3%80%8E%E9%9D%96%E5%9B%BD+YASUKUNI%E3%80%8F%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88&client=fenrir&adsafe=off&safe=off&lr=lang_ja

どうも「中国人」監督による「靖国」ドキュメント、としてすぐに連想される「反日」イメージが先行している気がします。そして映画館側も、何するかわからん右翼には来てもらいたくはないからそりゃ自粛しますわな。

でも上の大学教授のコメントにあるとおりマスコミ側に映画館側を非難する論調があるのは気になります。この議員さんも同じことを言っていますね。言葉の上では正論かもしれませんが・・こうも明確に右翼の肩をもつ議員もいるわけですね。でもこれ、まったくの「逆」だと思いますけど・・
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/kyodo-2008040101000853/1.htm


見てみたかったですけどね。そういえば昨日は映画の日だったか。。


私は『君が代』とか国家的なものをこれでもかと批判する左翼(そしてそういう教員)も大嫌いですが、右翼は嫌いを通り越して「危険」です。前にも書きましたが、いま一番日本で警戒しなくてはならないのはアルカイーダではなく、右翼だ。


もちろんこの手の問題、右翼だけの問題では決してなくて、その右翼と近いメンタリティー(いわゆる「偏狭なナショナリズム」)が日本にはびこっているというところに本当の問題の「根」があるんでしょうけど・・

佐藤優も言っていましたが、たしかに小泉政権ごろからですかね?より偏狭なナショナリズムが大手を振って歩くようになったのは。

(追記)

この件に関する報道番組を注視してますが、やはり右翼に対してどうも歯切れが悪いコメントばかりが目立つ気がします。よく言われていたのは以下の二点。

①影響を恐れて後悔しない映画館への批判
②政治的影響力を伴いかねない自民党保守系議員の事前試写会への批判

これに加えて、遠まわしに、なんとなく「外からの圧力」なんて言葉で仮想右翼への批判とも言えない「おことづけ」が添えられる感じです。

マスコミが右翼を叩けないのは、批判するととんでもないことになることと、翼がテレビ局のスポンサーであるためであるとよく指摘されます。そもそも報道以前に構造的な問題が内在しており、そこに昨今の偏狭なナショナリズムの高揚が右翼の台頭を許しているように思えます。

マスコミこそ、立法権・行政権・司法権につぐ「第四の権力」のはずなんですがね。うーむ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

August 05, 2007

A級戦犯合祀/昭和天皇の懸念【抜粋】

毎日新聞8月4日の記事より。

<A級戦犯合祀>昭和天皇が懸念 元侍従長が歌人に語る

靖国神社へのA級戦犯合祀(ごうし)に対する昭和天皇の「戦死した人々のみ魂を鎮め祭る社であるのに、その性格が変わる」「戦争に関係した国と将来、深い禍根を残す」との懸念を元侍従長の故徳川義寛氏が歌会始の選者を長く務める歌人の岡野弘彦さん(83)に語っていたことが分かった。A級戦犯合祀については、元宮内庁長官の故冨田朝彦氏のメモなどに昭和天皇が強い不快感を示していたことが記録されていたが、具体的な理由の一端が浮かび上がったのは初めて。

 岡野さんの著書「四季の歌」によると、皇室で短歌の指導をしていた岡野さんのもとに、当時侍従長の徳川氏が3、4カ月に1回、30~40首の昭和天皇の歌を持ってきていた。86年秋ごろ「この年のこの日にもまた靖国のみやしろのことにうれひはふかし」という歌を初めて見た。岡野さんが昭和天皇の憂いの理由を尋ねると、徳川氏が明かしたという。

 徳川氏はさらに「はっきりお歌いになっては、さしつかえがあるので、少し婉曲(えんきょく)にしていただいた。筑波(藤麿(ふじまろ))宮司は合祀を押さえてこられたが、松平(永芳)宮司になると、お上のお耳に入れることなく合祀を決定してしまった。それからお上は、靖国神社へ参拝なさることもなくなりました」と述べたという。

 昭和天皇は75年まで同神社に参拝していたが、A級戦犯合祀が明らかになる前の76年以降、参拝はしなかった。【大久保和夫】

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 31, 2007

キングメーカー。

自民党のポスト安倍に関する勝手な憶測を2つほど。

①外相・麻生太郎の外遊

ポスト安倍の最有力候補・麻生太郎が選挙後すぐにフィリピンに外遊、しかも森さんも外遊・・ってのが、いかにも「絶妙のタイミング」か。次期首相候補っていう雑音を避けるためのスケジューリング?

②幹事長・麻生太郎の実現?

ついに麻生幹事長、ということになりそうですね。。幹事長は自民党の総裁に次ぐポジションで、実質自民党のとりまとめるポジションです。

どうにも安倍総理が退陣しないのは、現在の「キングメーカー」たる森さんが「待った」をかけているような気がします。それはまさにいま、森派(いまは町村派か)主導で挙党体制構築に動いているのでは。「大宏池会」を作られる前に森さんが機先を制して動いているのではないか、というのを勝手に予想してます。もっとも「大宏池会」を推進するようなリーダーが不在ではありますが。。

イラク特別措置法の審議があって8月中は臨時国会をやったり、安倍首相も外遊するということだから、内閣改造は9月に入ってから、でしょうか。そのとき体制が整えば、いよいよポスト安倍として麻生太郎が選ばれる可能性もあるのかも・・と考えています。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

参院選概観。

参議院議員選挙が終わりましたが、この選挙から私が勝手に「見えてきた!」と思うものをまとめます。

①自民党の組織票崩壊

郵政を民営化したことで郵政関係者の票を失い、「地方へのバラマキ」と「タカリ」で自民党支持を固めてきた公共事業費を削減したことで建設業者の票も失い、そして農業関係者からもそれほど票が集まらなかった、という状況からかんがみるに、従来型の組織票固めで選挙が勝てなくなってしまったことが大敗の大きな要因に挙げられます。良くも悪くも小泉改革の「成果」ですね。彼は大勝した代わりにこれまで自民党を支えてきた支持組織を大きく失うことになったわけで、あとでこの時代を振り返ってみたときに自民党を失墜させる大きなターニングポイントとなった歴史的人物に位置づけられることになるかもしれません。

ただ、いまは自民党がダメだから民主党に票が流れましたが、どうせ、というと語弊がありますけど民主党もコケるので(笑)、そのときはまた自民党に揺り戻しがあるということは容易に予想はつきます。民主党がコケる前に年金や事務所費問題くらいはキチンとしてほしいですね。

②郵政選挙での自民党大勝の反動(もとい、マスコミのバランス感覚)

何気に民主躍進の主な要因はここなのではないかとも思えます。日本人、もとい政党への投票行動がマスコミによって後押しされているというマスコミ分析もされているので(あくまで「背中を押す作用」があるだけですが)、「日本のマスコミは」という主語がより正確になると思われますが、やはり過酷な戦争を経験しただけあって、どこか絶妙なバランス感覚を持っている気がします。

ただ、そのバランス感覚というのは「年金」や「事務所費問題」など「視聴率至上主義」のうえでスキャンダラスに取り上げて追求して結果としてそう見えているだけなのか、それとも報道の本義に立ち返り、「政治的中立」という高尚な理念がマスコミに根付いていて、これに基づいてこれらの問題への批判がなされたのか、ちょっとわかりませんが。

日本で歴史教育を受けた人が共有する最大の歴史的教訓は「ファシズムを敵視すること」だと思われます。オピニオンリーダーたるマスコミ人がこれを持っている限り、まあ安泰かな、と今回の報道ぶりをみて思いました。

③10年以内(最早5~6年以内?)政権交代の可能性

①の組織票崩壊と②のマスコミ影響力という二点から導き出せる大胆な予想になりますが、ついに政権交代もありうるな、ということです。今回は、もうとにかく事務所費問題や大臣の失言等々がマスコミによって煽られたことが自民党の敗因となったことはご承知のとおりで、とくに長く自民党が議席を確保していた保守王国(島根、岡山、四国等々)でも民主党に取られる結果となったことからも、マスコミという「暴れ馬」をいかに乗りこなすかが勝敗を決するものと思われます。そりゃ、もちろんマスコミ対策だけ万全にやっても肝心の政治運営がうまくいっていなければ、その「暴れ馬」は当然暴れるわけで、まずは何より安定した政治・行政の取り組みが求められるわけですが。

もしこの10年以内に自民党の首相・大臣がまた不祥事を起こし、かつ民主党にフレッシュな話題をふりまく候補が擁立できれば、2年以内に行われる衆議院解散・総選挙ではさすがに時期尚早ですが、いずれ民主党が政権をとる可能性も出てきたと思われます。

とりあえず、現状では政策ベースの政争というより、あら探しベースの政争をしているのがいつも気がかりです。戦前の政友会と立憲民政党のように足をひっぱりあって、結局軍部に実権を握られてしまうように、アメリカに経済・外交ほかすべてを牛耳られてしまわないことを願います。

④教育政策への展望

正直、自民党でも民主党でも政策的に何が変わるか、と言ったら何も変わらない気がします。学校選択制、教職員免許更新性、外部評価など現在進んでいる改革の方向性はまずは変わらんでしょうね。ただ民主党が政策作りに参画するなら、遅ればせながら日教組系の議員も入ってくるだろうし、今よりもう少し現場の声が政治的に取上げられやすくなると思われます(個人的に日教組なぞ敬遠していますが)。

ぶっちゃけ、政権政党が変わったからといって教育が変わるなんてことは、教育学をやっている人間からすればまったくもって次元の違う話なので、正直ここの議論は難しいですね。

・・以上、選挙後の私なりの展望でした。

あと、これも私の私見ですが、マスコミ対策等も含めて実はあらゆることのフィクサーは、実は小沢一郎なのではないかという気がしています。 あなどれない人物。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

July 03, 2007

防衛大臣発言要旨

辞任した久間防衛大臣の発言要旨です。

日本が戦後、ドイツのように東西で仕切られなくて済んだのはソ連が(日本に)侵略しなかった点がある。米国はソ連に参戦してほしくなかった。日本に勝つのは分かっているのに日本はしぶとい。しぶといとソ連が出てくる可能性がある。
 日本が負けると分かっているのにあえて原爆を広島と長崎に落とした。長崎に落とすことで日本も降参するだろうと。そうすればソ連の参戦を止めることができると(原爆投下を)やった。

長崎に落とされ悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、しょうがないなと思っている。米国を恨むつもりはない。勝ち戦と分かっている時に原爆まで使う必要があったのかどうかという思いは今でもしているが、国際情勢、戦後の占領状態などからすると、そういうことも選択としてはあり得るのかなということも頭に入れながら考えなければいけない。

防衛大臣がこんな「追認」発言をすれば日本中から叩かれることは容易にわかるだろうに。原爆自体、日本の占領がほぼ確実になってからマンハッタン計画の遂行を急いだアメリカの独善的な攻撃で、戦争を大義名分にした人体実験であったことは、もはや明らかなのに。唯一無二の防衛族議員だったことからもその手腕はたしかだったと思われますが、いずれにしてもこんな認識で大臣をやられていたのでは、本当にたまったもんじゃないです。

安陪首相もさっさとクビを切ってしまえば支持率も上がったろうに・・

| | Comments (0) | TrackBack (0)

February 07, 2007

知事プロフィールからの考察。

明日、面接で自分の研究計画をいわばプレゼンすることもあり、少し前からやっていた知事(首長)のプロフィールに関するデータを整理していて気づいたことを簡単に。
(個人的には書くことで時間かけずに頭の整理をはかりたい・・)

■知事の出身

①中央省庁   27人(日本銀行1人含む)
②国会議員   9人
③市長      3人
④公機関    2人(国鉄・NHK)
⑤県議      2人
⑥その他     3人(地方官僚、大学教授、福祉機関)
⑦タレント     1人

と、日本は中央省庁出身者が知事になることが極めて多いことがわかるわけですが、さらにどこの省庁が多いのか。

①自治省  14人
②通産省   8人
③建設省   2人
④農水省   1人
⑤文部省   1人

圧倒的に自治省と通産省出身者が多い。自治省はもともと各県の行政幹部となってキャリアを築くため、必然的に配属された県とつながりが持ちやすいし、また通産省は例えば大阪の大田房江知事のように「近畿通商産業局」等に見るように各地の支局でキャリアを築いてこちらも地方とコネクションをつくりやすい。

※なお文部省出身者(現愛媛知事)は、著作権関係を文部省のテリトリーとするのに敏腕を振るった能吏で、またリクルート事件に絡んでかのミスター文教族・西岡武夫に罷免をされた人物。まさか知事になってるとは・・

■地方別

地方別にみていくと、「北陸」はすべて中央官僚王国であり、「近畿」も滋賀を除いてすべて中央官僚王国だったりする。関東は北関東は中央官僚出身者だが、一都三県はすべて元国会議員だったりする。その他の地方はさまざまな出身者が入り混じっている。

アメリカの場合、国会議員へはまず地方の知事等を歴任してからステップアップしていくのが一般的だが、日本の場合、議員のキャリアパスは中央省庁および国会議員が下野して知事を担う落下傘である。もともと中央政界があって、そこから地方政界へと落武者が集まってくる構造になっている感がある。

そして地方は首長の影響力が強く、議会はそれを承認する機関になっているという議会の与党化が指摘されている。もともと知事自体が自民党から推薦を受けた候補の場合が多く、さらに議会の大半が自民党という保守派でできているのだから、もたれあわないわけがない。いくら地方自治だといったって、その実現を担う構成員に目を向けなければ、机上の空論に過ぎないわけだ。

教育行政はもはや教育委員会-文科省というホットラインが弱まり、今後は、まず首長の力が強くなるだろう。そしてますます地方が自由に配分を決められるようになるであろう予算では、間違いなく議員の発言力が増してくる。とくに地方は保守派が大半であり、自民党王国であるのが現状で、かつ知事も自民党推薦者がやはり多く、近年では中央統制の芽も出始めている雰囲気もあり、地方自治万歳、とは決していってはならないだろう。

教育行政も、首長や議員の発言力が強まることは決していいことではなくて、むしろ反対に世論ばかりに気をとられ、現場の声を反映できるのかが非常に不安。教育委員会は現場の声を拾って、そういう政治アクターおよび行政アクターにそれを届けることがいま求められる機能なんだろうと思われる。

ということで、従来の教育行政学は教育委員会と行政的アクターを中心に分析していたが、それに議員という政治アクターを加えて新たな枠組みをつくり、さらにアクター間の権力構造分析を通して、誰が真に教育政策に影響を及ぼしているのかを考察する必要がある。

・・アバウトだけど、ドクターの面接でこんなこと喋ってきます。もちろん、これはあくまで「大枠」だけどね。。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 24, 2006

千葉7区選挙によせて。

まさか自民党が負けるとは・・!

正直、自民党は勝つけど僅差で・・という結果をmixi日記で予想していましたが、逆でしたね。約950票差。実は私が今住んでいる選挙区が、いま世間を騒がしている千葉7区なのです。この票差、私の住むマンションの住人が全員自民党に投票すればひっくり返せるほんとに僅差の票数です。うーむ。

まずは反省しなければ。そして自民党の敗因・民主党の勝因を考えてみたいと思います。

と、その前に。

岩国市長選挙で基地推進派の候補者が反対派の候補者に負けたことを今回の千葉7区と絡めて「反自民の風が全国的に吹いている」というマスコミもありました。でも、基地問題は市町村レベルでは反対派が往々にして勝つので、一緒に論じるのはちょっと厳しいかと思います。ここでは千葉7区に限定してみるべきでしょう。

それでは私が考える民主党の勝因を以下に挙げます。

(1)民主党代表選挙(マスコミ注目度)

まず自民党が勝つ、と予測したのは小泉劇場の余韻が覚めやらぬ風潮が感じられたこと。小泉総裁が来たときのあの「集客力」はものすごかったですし。なによりメール問題で選挙戦に入る前まで風は自民党に吹いていたはず。事実、候補者の「候補」として200人以上集まったというのは、世の風潮もそれだけ自民が強かったと思われます。

しかし。メール問題で前原代表が代表を降りて代表選挙で小沢一郎が新代表になり、メール問題には片をつけたという印象を与えたことは大きかった。

でも、さらにここで大きかったのは代表戦の模様がマスコミに多く取り上げられ、民主党に無党派層が急に目を向けたこと。前回の小泉劇場の内紛と思われた「刺客」報道と質は違えど効果は同じだったと思われます。「自律」「自制」という要素は日本の政治・行政を見る視点で一番喜ばれますもんね。

(2)前回の小泉劇場の自民大勝

民主党の一番の勝因は、前回の小泉劇場で自民党は勝ちすぎたこと、これに尽きます。与党合わせて衆議院の3分の2に迫る議席数は正直危険である、という判断および報道がなされ、抑制作用が働いたものと思われます。

(3)最近の「格差拡大」報道

いまやどのマスコミを見ても、小泉政権によって「格差」が拡大した、という論調で記事が書かれています。従来は既成の権力や構造の「構造改革」を支持していた世論も、自民党が大多数の議席を獲得したあとは、自分のまわりに起こっている現実に目を向けた。

民主党の候補は「負け組ゼロへ」というスローガンを訴えてきましたが、ちょうど渡りに舟、という感じで無党派層はこちらに目を向けたものと思われます。もはや「相手こそ古い自民党だ」という「構造改革」的言説は、今回の選挙では通用しなかったと考えます。

(4)民主党候補者が県議会議員

これは上で考える要素に比べれば、微々たるものかもしれません。が、950票差の勝因を考えると意外と重要な要素ではないかと考えます。

自民党候補者は埼玉県副知事。その前は通産省のキャリア官僚でした。まあ自民党の候補者らしい経歴です。一方、民主党側候補者は千葉県議会議員。しかも、地元選出です。投票日前日に鳩山幹事長が言っていましたが、「地元の声を反映させるのはやはり地元選出の議員でなければならない」というのは、教科書的ですがたしかに正論ではあります。この要素におそらく競り勝った分の約1000票から1万票は集めたのではないかと考えます。

(5)劇場型政治に飽きた?

・・と一部のマスコミ出演者は言っていますが、絶対そんなことはないです。のどもと過ぎて、役者が揃って、いい「ストーリー」があればいつでも劇場型になるでしょう。今回は同じ役者陣でも「ストーリー」がなかった。むしろ「ストーリー」は民主党の方にあった。ただそれだけの話だと思いました。

まだまだ細かく挙げられそうですが、大きくはこんなところで。

私としては(2)で民主党が票を間違いなく伸ばし、(3)でも票を集めるのかなぁ、と思ったのですが、自民党の(5)の余韻とメール問題、公明党の選挙応援で、まあどうにか自民党が競り勝つのでは、と見ていたのですが、競り勝ったのは民主党でしたね。。

偉そうなことはいえませんが、今回は「理性的」な判断を有権者は下したのではないか、と思っています。正直このような判断が出せる(けど姿が見えない)「世論」なるものに安心しました。(ぶっちゃけ自分が投票した候補者が勝ったというのもあるんだけどさ^^)

ただ、総括的に見ると、その「理性的」な判断とされるものに大きく影響を与えているのはやはり(何度も指摘するように)マスコミであり、マスコミの報道如何でおそらく今回の結果は反対になっていたと思います。マスコミは立法・行政・司法の「三権」に次ぐ「第四の権力」であるとかねてより指摘されていますが、今回もその影響力をうっすらと見た気がしました。

・・といっても、誰が監視すんねや?という昔から答えが出せない問題にも同時にぶつかるわけですが。

教育問題も世論ってやつにはめちゃくちゃ弱いからなー。
マッチョなマスコミコメンテーターはだいたい害になりますからね・・

と、稚拙ながら今回の選挙の分析をしてみました。

個人的には自民党総裁、民主党代表クラス、幹事長、次期首相、小泉チルドレン、杉村大蔵にハマコー。河村たかし等々、テレビではおなじみの政治家をものすごく間近で見れたことが何よりも収穫でした^^

| | Comments (0) | TrackBack (0)

February 22, 2006

「ガセネタ」によせて。

今日はバイトで都庁におつかいに行ってきました。中学三年、15歳のときから塾の日曜テストなんかで池袋に繰り出してから、高校、大学、会社と東京なので、12年目にして初めての登庁でした。雰囲気がわかっただけでももうけもんか。

さて本題。

あのホリエモンをめぐる「ガセネタ」メール騒動関連で、私は、民主党の永田議員はまさかあの一枚の紙切れを出したぐらいで追及を終わらせてしまうんじゃないか?と危惧しております。

思うに、素人の私の勝手な憶測を言わせてもらうなら、いわゆるフリージャーナリストの売名行為に等しい、事実無根の「タレコミ」に民主党が食いついただけで、永田議員がフライングしちゃったんじゃないかと思うんだけどね。

こういう話って、あらかじめ誰が見ても明らかな証拠を最終兵器(ファイナルウェポン)として持ってないと、うなぎのごとくスルスル抜けていくのが政治家の常であることは経験則でわかっているだろうに。

でも、しかし。

仮にも片山さつきの後輩にあたる元・大蔵キャリア官僚で、本来きわめて「有能」であるはずの永田議員が、何の証拠もないただの「タレコミ」に反応して武部糾弾に入ることはないのでは、という予測も逆にできるわけで・・。あんな紙切れ一枚じゃ、確たる証拠にならないことを本人が一番わかっているはずですよね。

いま「雲隠れ」しているのは新たな証拠を出すタイミングをうかがっているのか、それともただの凡ミスなのか。

個人的に永田議員は、演壇で演説していたチョンマゲの松浪議員から水をぶっかけられた人として私の記憶に残っているくらいで、好きだの嫌いだのは最初からないですが、仮にも議員という選ばれた職種に就いているわけだから、政治術における「玄人」ではあってほしい。

さて、明日はどうなるか。私としては、確たる証拠をちゃんと出すことをキタイしています。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

February 09, 2006

ご懐妊の裏を読んでみる。

いま話題をさらっている「ご懐妊」について。

#もともとMixiの日記に書いていて内容的にもその中でクローズしブログにアップするのは止めといた方がいいかと思いましたが、逆に匿名の世界だからこそ言ってもよいかなと思い返し、アップすることにしました。 以下、本編。

一般に日本は言論の自由が言われとりますが、こと皇室に関しては公にラディカルなことを言うとright-wingの過激派から狙撃されるなど身の危険に関わる問題になり、言論の自由のへったくりもありません。学部時代のゼミの教授も「家のローンもあるしまだ死にたくないから言わない」なんて子供みたいなこと言ってます(笑)

マスコミが言えなそうなところで、私の「あくまで推測」をちょこっと書きます。おれっちはローンも嫁さんももないしねー^^

まず妊娠6週目で発表、というのは異例の早さとのことです。通常はもう3週間から4週間くらいして流産の危険性がかなり減ってから発表するのが通例だとか。要は、皇室典範改正審議に入る前に少しでも早くそれを食い止める有力な材料として発表したということでしょう。

ここで私が思うのは、宮内庁の「政治力」というやつです。宮内庁は当然普段表に出ることは決してないし、それはこれからも変わらないでしょうが、考えてみるともし女系天皇になったら皇族に関する制度なりの抜本的見直しを図られるのは想像に難くない。となれば宮内庁も例外ではない。しかし男系天皇で皇室典範も維持されるとすれば?・・組織的な改変はまず行われないでしょうね。

宮内庁にも派閥めいたものがあるかもしれません。もしかして時代状況ではこれ以上男系は無理だから、と考え女系天皇を容認する派閥もあるかもしれません。しかし前の宮内庁長官は露骨に秋篠宮-紀子に第三子を、と言っているとおりトップがそう発言しているということは、つまり男系天皇維持勢力が有力なのは間違いないでしょう。

どうも今回のご懐妊というやつがどうもしっくりこないのは、人間の自然な営みの中で行われた、というより、上に述べてきたような「政治的」策略が露骨に見えていることです。子どもってそんな風につくっていいもんなのかねぇ。。この点は倫理的な問題に踏み込むので止めますけど。

しかしこの平成の男女機会均等の世の中、男子の「お世継ぎ」を生むようにいろんな勢力がせがむ状況って、よくよく考えると時代遅れも甚だしいなぁと思わざるをえないんですが。最近のマスコミ報道を見てると、妃子さんを「崇め奉る」ような報道ばかりで、正直うんざりです。

万世一系ってそもそも歴史学的に虚像だと言われてるし(アカデミックの世界でもこれすらいえない状況になりつつあるようですが)、なぜこうも男子の家系にこだわる必要があるのか。個人的に天皇は性別がどちらでも、そして男系であろうと女系であろうと国民の統合かつ象徴たる役割は十二分に果たせるわけですよね。

なぜそんなに頑なに守ろうとするのか、という点に関しては、グローバリズムに対する「ローカル」たる日本オリジナルなものの抵抗だとも言えるだろうし、また丸山真男の「超国家主義」の概念を借りてきて、自らの政治的権力を天皇という存在によって保障する、いわば保身のために現行天皇制を守る、などなどいろいろ分析できると思われます。逆に言えばそれだけ回答がないということで、だからこそみんなで喧々諤々議論が絶えないのでしょうが。


最後、きわめてドラマ好きな庶民の考え。

・・やっぱり自分の子供を「お世継ぎ」にしたいというのが母の一番の望みなんだろうね。チャンスとあらば、なおさら。

ともかくいろんなたくらみが渦巻いているなぁと感じました。

今回は以上で。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 15, 2005

政治学者とは。

「政治学者とは政治と戦う人のことを言うんです」

私がとっている政研の日本政治史の先生で、かつて私が所属していたゼミの先生の言葉より。年内、そして今年最後の授業で高田牧舎でコーヒー飲みながらラスト・レクチャーを受けました。北一輝の処女作『国体論および純正社会主義』をどう読むかという課題。改めて思うけど、北一輝は天才やね。 ま、それはいいとして。この授業の中で感銘を受けた言葉が冒頭のこの言葉。先生は1のことを聞いたら20は必ず返してくるものすごく頭の良い先生で、私はこの先生以上に頭の良い人をほとんど知らないくらい。(おかげで政治思想史は自分に向いてなくてより実際的な話をしたいと思うようになったことも事実ですが)

そんな先生が、政治学者として確固たる地位を築き、政治学をやる人間では知らない人はいない丸山真男の語った言葉を引用したのが冒頭の言葉です。「政治と戦う人を政治学者と呼ぶんです」 ・・感銘を受けたので忘れずに書いておこうと思います。 続けて丸山真男の言葉を引用して、「そして彼はあるとき『私は政治学者を辞めます』と言った。それから『歴史学者』になった。それはもう政治と戦わなったからです」 「いまの政治学者は『政治学者』じゃない。『政治学学者』です。学問のための学問を研究している。それはそれで意味があるかもしれないが、本物ではない」

この意味で、教育学者ってなんだろうと思わず考えました。 果たして戦っているのか。もっとも政治と違って「闘争」するものではない、と考えられるのかもしれないけれども、そんなことは決して言っていられないのは現在の状況からも解かるだろう。そしてこの場合、何と戦うのか。教育の場合、教育○○学と分類の幅が広いので、きっと研究する対象ごとに違うのかもしれませんが、この意味で私はやはり「政治」なんだろうなと、改めて感じた次第です。かつてホッブスが「リヴァイアサン」と喩えた魔物が相手かぁ・・手強いなぁ。

やっぱり、知的な人の話を聞くと、知的好奇心が刺激されていいなぁと、いつもその先生の話を聞いて思います。こんな教師が現場にいたら、そして自分もそんな教師やったらええんやろうけど・・現実はなかなか厳しいんだろうね。 ともかく、この言葉を胸に頑張りたいなぁと思った師走でございました。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 19, 2005

ポスト・ポピュリズムへの道

選挙後に週刊誌等で選挙総括の記事広告が電車の中吊りなどにたくさん見られます。内容は「300議席のウソバカ」等々あまり品のよくないものもありますが、痛烈な批判を加えるものが多いですね。(この期に及んでといった感じですが・・^^)

さて前の記事でポピュリズムの危険性を、文藝春秋に寄稿した中西輝政氏の文章から以下のように引用しました。

半封建的な全体主義も危険だが、大衆社会をストレートに民主政治に反映させることはもっと危険である。

そして「民意をしっかりと反映させる本来の『政治』がなされるために脱・劇場型(コロセウム型)政治および脱・ポピュリズム政治をはからねばならない」と、続くわけですが・・

まず記事に関しての感想。はっきりしたもの言いですね。ジャーナリスト出身かと思いきや、根っからの政治学者のよう。今年1月の文科省中教審での教育への提言を読みましたが、そこでも「現在の日本は、近代の先進国が必然的にたどる歴史的衰退期にある」という発言をしていることからもみえるように、政治における「周期性」「法則」を見出す人なんだなぁと思った次第です。私が今まで読んだ現状の日本の政治や小泉批判をした記事の中で、最も質が高いものだと思っています。(私ごときが言うのもなんですが^^)

さて彼の「ポスト・ポピュリズム」の主張について。まずは「ポスト・ポピュリズム」の概念として、「半封建的な全体主義も危険だが、大衆社会をストレートに民主政治に反映させることはもっと危険であるがゆえに、世論のことを知るが、自己抑制が確立している段階」であり、「欧米先進国はすでに『ポスト・ポピュリズム』の段階にある」そうだ。

そしてこの段階に達するために、日本の政党政治は以下の条件を満たすことが今後必要だと述べている。

① 政党自身の官僚に依存しない政策策定能力強化
② 指導者の高い言語能力
③ 官僚機構の完全統制
④ 国民全体の「政治的真面目さ」の復活

分類すると、①から③にかけてが政党(とくに自民党)に対しての提言、④は国民への呼びかけになっていますね。そしてこれらの条件のベースにある一番の主張は「脱・官僚優位」です。それは以下の文章に端的にあらわれています。

強い官僚機構があると、国民は、そうひどい政策は出てこないとタカをくくり、ポピュリズムに酔いやすく無責任に投票しがちである。官僚がポピュリズムを昂進させる。これが小泉政治のもう一つの本質といえる。

官僚に依存しないで政党主導のもと、いわばトップダウンで政策の企画・立案を行う。そのために政党はより政策集団として自らを高めなければならない。同様に国民も(そしてマスコミも)政策本位で政治や政党を選びとらなけれならない。感想として順番として国民への真面目さへのアピールが一番下になっているのは、順番として期待値が低いためだと私は解釈しています。やはり国民の時間的制約、専門知識の欠如はどうにも全体のベースアップは難しいことを認識しているものと思います。これに比べて政党の意識、性格なら改善できる可能性は高い。だからこそ、最初3つは政党に対しての強い要望を挙げたのだと思います。

改めて見直すと、どれもベースにあるのはイギリスの議会制ですね。イギリスでは官僚が政党議員で占められた内閣の完全な統制下に置かれ、内閣を通じてしか政治側にアクセスすることができない。また官僚は政治家に立候補することは法律上不可能であるため、元官僚の政治家は生まれえず、不要な人的コネクションは生まれない。こうすることで政策は官より政が担わなくてはならないという意識が芽生えてよりしっかりした政策提言を行っていく、と。

ただ苦言を呈すならば、いまさらイギリス型の政策形成が日本で可能となるとは思えません。そもそも政が官を統制するというよりかは、多くの議員は元○○省出身、と肩書きだけが移動しているのだから「統制」するといってもあくまで制度レベルにとどまり、実情は族議員となって「癒着」したままでしょう。官僚経験者が政界に打って出ることを禁じる法律の制定は、自民党歴代首相に官僚出身者が多いことからも、もはや不可能です。(私ごときが天下の京大教授に意見するのもおこがましいが・・)

内部の意識変革はたしかに重要ですが、それよりもいま問題となるべきは独走する政府与党を抑制するものがないということに目を向ける方がよいのではないでしょうか。すなわち、政・官の枠の外から「外部監査」をする機関を設けるべきでは。すなわち、アメリカ型の「シンクタンク政治」です。

要は、本来政策の可否をチェックするはずの「選挙」という国民の政治活動は、機能不全に陥りがちです。それは時間的制約と専門的知識の欠如からくる当然の帰結でもあります。現状で問題なのは、国民が機能不全に陥った場合、誰も政府や与党を止める機関なり組織なり勢力がなくなってしまうことです。そこで常に一定レベルのチェック機能を有する、分野ごとの高度な専門家集団であるシンクタンクを導入すべきです。アメリカではもっぱら政策提言をメインで行っていますが、日本版は提言もさることながら政策評価・政策結果予測をメインに、あくまで「民間」の立場で行うことを目的に設置する。その判断を選挙の際など判断の材料にできないでしょうか。

本来、その役目は新聞はじめマスコミが果たすべき役目でしたが、そのマスコミはいまや極論すれば発行部数増大を追い求めるただの利益団体に成り下がっていると思っています。この姿勢を改めるのは編集者が公務員ではないのだから絶対ムリでしょう。そんなことからも、法的に権威と正当性を与えられたシンクタンク等による政策チェックが必要になってくるのでは。

以上、ポスト・ポピュリズムに向けて必要なのは、政策形成に携わる政党(とくに与党)の改革に加えてを対等にチェックできる機関の創設にあるのではと考えます。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 16, 2005

ポピュリズムの確信犯

選挙が終わってマスコミ各社で今回の自民党はなぜ圧勝したかについて連日議論していますね。すでにマスコミなど様々なメディアが自民党の圧勝の要因を分析していますが、私なりに出ている情報を大きく2つに分けてまとめたいと思います。それは「自民党のイメージ戦略」と「小泉総理の政治言動」。それぞれについてまとめます。

■自民党のイメージ戦略

今回から選挙対策で広告やイメージ戦略を専門に担当するPR企業プラップジャパンと契約して選挙戦を戦いました。この企業は米大統領選挙でも活躍した企業だそうです。もともとこうしたPR会社との提携では民主党側が先行しており、前回も米国系PR会社フライシュマン・ヒラードと提携して「マニフェスト」を打ち出し、前回の民主党の躍進に貢献しています。今回、自民党側で中枢となったのは自民党広報部・世耕弘成参院議員。いまや連日名前が取り上げられて聞かない日はないかもしれませんね。世耕議員のプロフィールを見ると、国会議員になる以前はNTTで広報部に所属していたそうで、そもそもの専門であるようですね。彼が番組等で語ったイメージ戦略について、一部を具体的に挙げると以下の通りだそうです。

  1. CM撮影・・・解散発表時と同じ舞台、首相も同じ青いネクタイを締めたイデタチ
  2. マスコミが飛びつく話題性の提供・・・刺客候補、とくに女性候補を擁立
  3. テレビ出演への対応・・・有名な大物議員のスケジュールを管理し絶えず出演
  4. 徹底した番組モニターと発言チェック・・・不都合な発言は直ぐ訂正会見を開催
  5. 情報の一元化・・・1日平均5回全候補者の事務所に演説ネタ情報を一括送信

「1」のCMはあの解散直後の郵政解散支持機運を維持しようとするものであり、「2」は後述しますが自民党を多く映し出すための作戦、「3」「4」でマスコミの動向を一元的に管理、「5」は新人議員も多かったこともあり中には「台本」も作成するまで全国的に訴える内容を均一化。このような作戦を立案し実行したそうです。また彼が直接指示を出したわけではないようですが、例えば静岡7区へ落下傘でいった片山さつき・元財務官僚などへは当初「銀座のママ」を思わせる高級感があった。しかし選挙ではマイナスにはたらくことを熟知した地元自民党陣営からより庶民派を意識させるために、「髪は束ねろ」「質素な服装をしろ」とアドバイスしたとか。事実、安価な量販店で「装備」を買い揃えた彼女の姿がこれまたマスコミで取り上げられていましたね。

統計的なデータではマスコミへの露出が高いほど支持率が高くなようで、特に投票率が高いの20代、それに続く30代の若い無党派層の支持獲得を狙ってマスコミを通したイメージ戦略を打った、と世耕議員は述べています。今回は上記の「2」の刺客候補・マドンナ対立にマスコミがうまく踊らされてなまじ下手な番組より面白いから視聴率もとれる。このためにうまくマスコミが踊らされましたね。いずれにしろ、某統計で20代では43.2%が自民党支持となり、歴史的圧勝につながったようです。

統計的なデータをもとに展開されたイメージ戦略。彼の「自民党選挙参謀」としての能力は大変優れていると評価できるでしょう。

■小泉総理自身の政治言動

今回の選挙は各候補者の力で当選したのではなく、その候補者に小泉総理の姿を重ねて投票した、というのが実情に近い投票行動でしょう。それだけ彼は人気があります。応援演説で駅前に数万人規模の聴衆を集めてしまうのは「すごい」としか言いようがありませんな。

この小泉総理がなぜここまで人気があるのか。私が思うに、その政治言動が常にマスコミ向けで視聴者にインパクトを残すものであるからだと思います。もちろん彼自身だけの戦略ではなく、彼の側近のアドバイス等もあるでしょう。(個人的には飯島秘書官によるマスコミイメージ戦略が大きくモノを言っている気がしますが) このマスコミで報道される小泉首相の特長について各メディアを総括した分析では大きく2つにまとめられます。

  1. ワンフレーズ・ポリティクス(サウンド・バイト)
  2. 賛成・反対の二元論
  3. ブレない姿勢

まず何度も指摘されているのが「1」です。最近のマスコミは政治家がコメントしてもポイントだけを圧縮して放送しますが、その秒数はわずか平均8秒。その短い秒数の中でいかに主張を端的に押し込めるかが、マスコミを通した政治家のイメージ作りの核となります。そして小泉首相はもともとこういう端的に主張を言葉に込めることに優れていた。彼は「構造改革」「郵政民営化」としか言っていませんが、編集いらずのこのフレーズをマスコミが何回も繰り返し使うことでいわばサブリミナル的な効果をマスコミ視聴者は植えつけられた。そしてそこから言葉が一人歩きして妙な期待感が生まれていきました。聞いたところによると、この手法はサウンド・バイト(sound bite)と呼ばれ、アメリカでもその有効性からか選挙のほかにも様々な場面で意図的に使われているとか。ともかく、ワンフレーズで主張を盛り込み、上に挙げたマスコミへの露出が高いほど支持率が高くなる現象も相まって高い支持率を維持しているわけですな。また「2」も「1」と同様に端的に主張を印象付けさせるための手法として、もともと小泉総理自身が使っていた手法。意識的に身につけたのか、それとも無意識に備わったのかわかりませんが、ともかく今のマスコミを通して展開される政治にマッチしたものになっています。

同様に取り上げられる回数が増える中で「3」もアピールされてくる。彼に限らず「一貫した姿勢」自体は今の「個人の選択」が尊ばれる社会においては再評価されているものだと思います。その社会的風潮を受けての姿勢。この「1」と「2」の両方が巧くかみ合って大きな人気を生み出す原動力となっている。

#上の「イメージ戦略」にも当てはまりますが、解散の前に森元首相の、いまや有名となった「干からびたチーズ」・ミモレットと缶ビールを持ち出して「奴は変人以上だよ」と言ったあの会見。実はあれは完全な「お芝居」だったと森元首相本人が暴露しています。たしかにいま思えば不自然きわまりない。派閥の領袖でも説得できないないほど、「揺るがない決意」を押し出すイメージ戦略が選挙前から展開されていたようです。誰が書いた台本なのかはわかりませんが、こういうテレビ向けの演出もできるところは、やはりすごいのかもしれません。

まとめると、政策の具体性をうんぬんする以前に、今の時代に適合したマスコミ受けする政治言動と姿勢がマスコミ視聴者、いわゆる大衆受けにつながって揺るがぬ人気につながっていると結論付けることができます。

■ポピュリズムへの道

結局、政策の具体的中身を見る以前の、いわば「上澄み部分のイメージ」でしかマスコミ視聴者は政治を認知していないんだと思っています。投票率は67%を超え、表向きの数字をみれば「政治的関心が高まった」と見えますが、実体として具体的な政策の中身はいつものとおりほとんど見ていない。私が思うに、政治的関心は変化なし、もしくはマスコミ任せで下降しています。若年層は特にそう。

きわめて暴言的な言い方をすれば、自民党は今回、総裁のマスコミ受けする言動とイメージ戦略で、政策の中身にあまり関心を持たない有権者の票(とくに若年層の票)を掠め取った。そして「国民は自民党を支持した」と主張する。首相も広報部もみなポピュリズムの確信犯です。そしてマスコミはそれを狙ったとおりに実現した「片棒担ぎ」なわけで。

このポピュリズムに対して、文藝春秋の誌上で京大教授・中西輝政氏が強く警笛を鳴らしていますね。ポピュリズムというとすぐにナチスを挙げ、「ファシズム」と結びつける人が多くてそれには閉口させられますが、「選挙という合法的制度を背景に大衆から支持をとりつけて、少数者の利益となる意思決定を容認する政治手段」と捉えると、ポピュリズムの問題性が身近にあらわになると思います。以下、中西輝政氏はポピュリズムの危険性を以下のように述べていますね。

半封建的な全体主義も危険だが、大衆社会をストレートに民主政治に反映させることはもっと危険である。

今回の郵政民営化は果たして国民の声だったのか。小泉首相の個人的な「勇退記念碑」ではないのか。

結局、「民主政治」というだけでは国民にとって最善の選択はなされません。その「民主政治」「民主主義」のもとで、どういうふうに民意を取り上げる仕組みを再構築するか、議会や政党制度を見直して内面にくさびを打ち込み改革しないかぎり、最善の選択はなされないのでは、という思いを改めて感じました。とくにこの不況の世の中、みんなが忙しい中で「政策を良く見ろ」と言ったところで、私もサラリーマン時代を思い浮かべると「そんなのムリ」だと言わざるを得ない状況の下で、いかにより最善の選択を取る民主主義・民主政治制度を構築するか。今後はこれを検討する必要があります。

マスコミも同じ。今のままだと「ポピュリズム再生産システム」になりますな。民主党・菅氏は「何が政策の争点かは本来マスコミが見極めるものでしょ」という発言をしていましたが、私も同意見です。極論すれば視聴率という数字はキムタクやレイザーラモン住谷に任せて、せめて政治を扱う部分だけは話題性より中身を真剣に論議してもらいたいです。

・・次回は上に少し挙げた中西輝政氏の文章から官僚と政党の面からポスト・ポピュリズムを考える予定です。またお付き合いいただければ幸いです。

| | Comments (2) | TrackBack (2)

September 12, 2005

「郵政選挙」以後の自民党

昨日は第44回衆議院議員選挙でした。自民党が勝つとは思っていましたが、絶対安定多数の269議席を超え、まさか300議席に迫る296議席を獲得してくるとはまったく思わなんだ・・。さらに公明党と議席数を合わせれば327議席衆院の3分の2を超えました

さらに考えると、郵政で造反した野田聖子、平沼赳夫をはじめ有力議員も無所属で13議席、国民新党・新党日本などの旧自民党関係者を集めると4議席、合計17議席もいるということで、もし彼ら・彼女らが復党した場合は以下の議席数になります。

296議席 + 復党 17議席 → 潜在的自民党議席 313議席

あと数人追加公認などを出せば衆院の3分の2に迫る勢いで、今はありえないでしょうが公明党と訣別して彼らと「大同団結」をすれば憲法改正の国会発議も可能になってくる。自民党の為政者にとっては非常に政治のパイが増える結果になっています。

前回からの各党の議席数を見ると、自民党(212→296)、民主党(177→116)、国民新党・新党日本(0→5)、その他政党は現状維持。これまでの民主党の議席を自民党と新党で食い荒らした形になりますね。個人的には政権交代をいつかしなければならないと考えているだけに、民主党のふがいなさにどことなく腹立たしさを覚えつつ、いまは自民党がヘンに数の論理で「暴走」しないことを願うばかりです。

このような結果を受けて、「郵政選挙」以後の自民党体制と支持基盤について考えたいと思います。

(1)派閥解体

これまで有力な決定権力を持っていた派閥があれよあれよと言う間に力を失いつつあります。ちなみに報道で名前を聞く派閥の領袖(派閥のリーダーをこう呼びます)の変遷は以下のようになっています。

  1. 旧橋本派(平成研究会)  吉田→佐藤→田中→竹下→小渕→橋本
  2. 旧堀内派(宏池会)     池田→前尾→大平→鈴木→宮沢→加藤→堀内
  3. 森派(清和政策研究会)  岸→福田→安倍→三塚→森
  4. 亀井派(志帥会)       村上・亀井(中曽根派と合流)→江藤・亀井→亀井

そのほか旧小里派や山崎派、河野グループなど規模の小さな派閥がありますが、党のキャスティングボードを握っている派閥は上記の四大派閥あることは衆目の一致するところだと思われます。

この中で、吉田、佐藤、田中、竹下、小渕、橋本と派閥の領袖6人が総裁・総理となり、現在も所属する議員の最も多い最大派閥・旧橋本派は、政治献金疑惑で領袖の橋本元首相が引退、それに代わる推進力を有する議員が出てきていません。次にかつては保守本流の官僚政治家集団としてならした宏池会・旧堀内派は加藤派だったときの「加藤の乱」で領袖の加藤に反旗を翻して独立した集団であるものの、政界の有力者であった加藤に代わって立った堀内氏はやはり郵政反対で自民党から非公認にされ無所属で戦い、勝利はしたものの自民党非公認となった議員が再び派閥の長として力は取り戻せないでしょう。そして亀井派の領袖・亀井氏も同じく郵政で造反し離党していまや国民新党に所属する野党議員。当選したとはいえ党を離れて復党して自民党で再び派閥のキーマンになれるかと言えば、それはムリだと考えるのが自然でしょう。

こういった事情の中、現在派閥として変わらず力を保持しているのは、これまで第三派閥に甘んじていた森派だけになります。その森派のかつての会長が小泉総理だった^^。そして小泉総理は派閥解体を訴えてきました。こうなると、実際にもこれからの方向性も、少なくとも小泉総裁の在任期間中は派閥が党運営に強い影響力は持ちえないと見ています。また、このような派閥の実力者を巻き込んだ派閥求心力の弱体化という党内事情があったからこそ小泉総理の独断的政治手法が可能だったとも考えられます。

#というか、橋本派の「悪事」を暴いたのも、堀内氏・亀井氏を非公認にしたのも、すべて小泉総理ほか森派の誰かが仕組んだ有力派閥崩しのシナリオなのではないか。そこにはドロドロした政治抗争があったのではないかと予測しています。だってそのあまりに良過ぎるタイミング。これを疑わないわけにはいきませんよね?

今後は派閥解体、といっても自身の出身派閥である森派シンパを優遇しての派閥解体に向かい、当選回数、政策企画立案能力・実績をベースに党内の力関係のバランスが決まっていくようになると思います。もちろん「旧○○派」という形でしぶとく派閥の型は残り続けますけどね。来年のポスト小泉で彼に代わって総裁につく人間が誰なのかによってこのベクトルが続くか曲げられるかが決まるはずです。

(2)族議員の伸長、政策グループの増進

政策本位での党内権力闘争に移行することが予測されますが、その際自身の所属する国会委員会での活躍が必要です。となればこれまで以上に族議員として影響力を持つことが必要になってくる。派閥に代わるものができるとしたら、これまでの自民党実力者が、自民党政調会の各部会の実力者、すなわち有力「族議員」同士が連合して、経済・教育・外交その他分野を束ねた「統合政策グループ」を形成してくるのではないかと思われます。今まで各派閥が族議員を養成していた傾向がありましたが、今度はまず族議員ありきで形成される新グループ。たしかに新・派閥になるかもしれませんけどね。これも「派閥が息を吹き返さない」ことを前提とした私の勝手な推測ですが。。

(3)自民党の支持基盤

これまでの自民党の有力な支持団体であった特定郵便局長会など今回の選挙で切り捨てました。今後、自民党に郵便関係団体が自民党の組織票として考えられることはなくなったと考えてよいでしょう。これらの利益団体の組織票がまだまだ多いのは事実ですが、今後ますます先細りしていく傾向にあるのはたしか。これはどの政党にもあてはまります。このため各政党とも今後は有力団体の組織票はなるべく確保したまま、政策本位で無党派層を取り込んでいこうとする方向になっていくでしょうね。もちろん公明党は別ですが。

そうなると、首相や党内にマスコミ受けする人間と政策があることが選挙に勝つ方程式になるでしょう。今回は小泉総理の力です。でも次に選挙を迎えるときは・・・安倍晋三が前面に出てくれば勝てるかな、現状の持ち駒では。逆にそうでなければ、もはやかつてのような安定した票の「供給」は望めません。個人の選択が尊ばれる時代の流れとはいえ組織票を切り捨てたのは今後の自民党にとっていかがなものか。小泉総理は自民党の内部も支持基盤もぶっ壊した。果たして自民党にとっていい方向に進むのか。このあたりunited feature press「組織票から個人票へ」という記事が非常に参考になります。

ただ、本来なされるべき「政策本位の政権選択選挙」が実現できる可能性は高まった、と言えるかもしれません。でも、私が本当に危惧するのは、票を入れるべき個人がマスコミの雰囲気に酔うポピュリズムに陥り、本当に正しい「政治的判断」ができるかということ。今回の自民党を選ぶという結果は、そこに至る過程を見る限り非常に疑問を感じずにはいられません。

☆☆

自民党は権力を保持し続けています。危機的状況のたびに内部変革を起こして非難を世論をかわす。思い起こせばロッキード事件では椎名裁定で最小派閥の領袖「クリーン」三木を擁立し危機にあった自民党を維持した。そして時代感覚が全くなく非難轟々だった森首相の後釜には、変人と評された現・小泉総理を首相公選制のように選出。続く選挙で自民党は持ち直した。自民党はその体制と人材でこれからも危機を迎えるたびにそれをかわす手段を常に持ち続けるはずです。政権交代はいろいろな条件が揃わないと難しいんだろうなと、改めて感じています。

またついつい長くなってしまいました^^以上です。

| | Comments (3) | TrackBack (5)

September 10, 2005

「郵政選挙」の結果予測

明日はいよいよ選挙。以前に予想した通り自民党優勢で選挙戦が進んでいますね。投票率も上昇傾向が報道されています。実際の議席数はフダを開けてみないとわからない部分が大きいので明言はできませんが、明日に先立って結果を予測したいと思います。

現在自民党は212議席。さすがに産経新聞の予測のように自民党単独300議席とまではさすがにムリでしょうが、最低でも自民党だけで衆議院議席数の過半数・241議席を確保、最終的には各国会委員会の過半数を占める安定多数の252議席には届きそうで届かない245議席前後をとるのでは、と予測します。

#個人的には、いまの小泉首相の政治手法で安定多数をとってしまうと、今まで辛くも押しとどめてきた重要法案(9条改正含む)も「国民は自民党を過半数選んだ。すなわち自民党が行うことは国民の意思である」などと言い出して、数の論理でこれら法案を可決する政治的危険性の匂いがぷんぷんするため、安定多数以上は取ってもらいたくないという希望的観測も若干含んでいるかもしれませんが・・

自民党が勝利するとすれば要因は主に以下のものが挙げられるでしょう。

  1. 国民の郵政公社を含む特殊法人の民営化への期待感と政界再編への強い願望
  2. 首相自身のブレない姿勢への評価
  3. 造反議員への有名人の刺客擁立劇等の小泉劇場及びマスコミ報道の集中
  4. 郵政民営化を「改革の入口」として焦点として強くアピール
  5. 対抗馬の民主党の態度が曖昧

そのほかこんなこともありますね。

  1. 日米とも台風被害で(とくにマスコミを介しての)精緻な政策分析の時間が奪われた

そのほか、個人的には、前回選挙で民主党は「高速道路無料化」というキャッチな政策を訴えてそれで票を得たように思っていますが、今回は有権者をワシ掴みにすうような目玉政策がなかったことも影響しているように思っています。

個人的には、テリー伊藤氏猪瀬直樹氏など選挙をめぐるテレビにおけるオピニオンリーダー的な人が強く小泉支持をにじませていたことが、選挙の大勢を左右する無党派に影響を与えているようにも思えます。古館伊知郎氏も報道ステーションを見る限りは中立の立場をとりながらもわりと小泉支持に近い発言を随所に滲ませていたような気がするし。

もっとも、彼らの支持の前にそもそもの総理や政党の政治姿勢がなければならないわけですが、上にも挙げた通り今の時代の政治に欠けている(ように思われる)一貫」した姿勢と、訴える内容の「わかりやすさ」が強く支持を広げる要因になったように思われます。ポスターの「改革を止めるな」もそう。とくにこれらがマスコミ視聴者受けするものであることが重要です。小泉総理自体、(飯島秘書官の戦略と言われていますが)従来から常にマスコミ受けを意識した「立ち振る舞い」をしているし、マスコミも俗に言う「ワンフレーズ・ポリティクス」、今回は「郵政民営化」を取り上げて有識者が何度も繰り返し話題にすることで、マスコミ視聴者に強く影響を与えているのは再度認識する必要がありますね。結局、前にも書きましたが、小泉総理とマスコミは見えない手でつながっています。このやり方自体は良い悪いの価値判断はつけにくく、ただ思うのは「うまい」なぁということ。これから政治をやろうとする人はこれを十分研究する必要があると確信しています。

あと、自民党勝利予測の要因には公明党・創価学会の影響もかなり大きいと思われますが、こちらに関しては私は分析できる情報を持ち合わせていないため、他の方の記事を読ませていただこうと思います。

そんなわけで、今回の一番の要因を短くまとめるならば、小泉総理がマスコミと見えない手で連携し無党派層の多くを占めるマスコミ視聴者を自民党へ引っ張ったこと、これに尽きると思っています。

さてさて明日はどうなるか。楽しみですね^^

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 08, 2005

麻生太郎氏に見る応援演説

昨日、私が普段使っている地元の駅に麻生太郎氏が選挙応援で来訪しました。その模様と思うところについて書きます。

今回、麻生太郎氏の来訪は駅前に多く立っていたシンプルな看板で知りました。

「9月8日11時30分~12時、麻生太郎先生来る」

大物政治家の応援演説はなかなか生で聞くことができないのでどんなものかなと思ってました。時間前にはすでに選挙カーが止まっており、地元議員の選挙パンフレットを配る人が配置について配布を始め、警察官も5人ほど配置につき、傍らの耳にイヤホンをしたSPも選挙カーを守るように位置に付きました。時間近くになって駅前ロータリーに黒塗りの車が2台あらわれ、選挙カーそばに停車。その手前の1台の後部座席から出てきたのが、総務大臣・麻生太郎です。吉田茂のお孫さんですな。

VFSH0003

#ちなみに私の選挙区の背景として、前々回まで当時のマツモトキヨシ社長であったマツモトカズナ氏が自民党から立候補、みごと当選を果たし、前回からその次男であるマツモトカズミ氏(長男がマツキヨ社長)に地盤を譲ったのですが、前回は民主党議員に破れ落選。今回はリベンジをかけた再挑戦ということで、自民党の議席獲得のため福田康夫、安倍晋三など大物議員も同じ場所に来ていました。今回はそれに続く第三の大物政治家になりますか^^

マツモトカズミが頭を下げ、麻生太郎氏は彼と握手。そして選挙カーの上に地元議員・アルバイトの女性・自民党県連の幹部等に続いて麻生太郎が上へ上がる。さすがに麻生太郎は全国を遊説していることを感じさせるように顔が焼けて黒いですね。下の写真がその模様です。

VFSH0002  

まずは地元議員から演説が開始。「郵政民営化はすべての改革につながる」といつもの文句を訴えて、麻生太郎にバトンタッチ。彼は党の幹部経験者・実力者として自民党の公約を述べ、JRもNTTもうまくいっているじゃないか、とくにJRは民営化してから運賃は上げたことがないじゃないか、郵政もなんら心配ないと、やはり郵政民営化推進を訴える演説をして、マツモトカズミをどうぞよろしく、と演説を終えました。このあたりは応援演説用の「型」があるんやろうなぁと思いながら、まわりにあわせて拍手。その場にいた人数のわりにはそれほど悪くない拍手だったかな。

ちなみに麻生太郎の演説中に、マツモトカズミ氏が聴衆一人ひとりと握手。私も握手しちゃいましたけど^^ このとき候補者と一緒にオレンジTシャツのアルバイトの人も一緒に「宜しくお願いします!」と支持を訴えていましたが、ぶっちゃけた話、その中の女性がこれまた若くてけっこうな美人なんですよ。・・裏の意味で良い印象を残すための「作戦」なんでしょうね。

麻生太郎はこのあと次の会場に移動するのか、終了後は急いで乗ってきた黒い車に乗って立ち去りました。

☆☆

大物議員の応援演説の内容自体はテレビでも新聞でもどこでも見られるので特にコメントはありませんが、実際の演説場所に来ると独特の雰囲気がありますね。今回は、「麻生太郎」という権力者に危害が加えられないよう、普段の候補者の演説では来ないはずの警察官が配置されて監視の目を光らせ、地元候補者は同じ政治家である大物議員を敬意やお世辞やらの意を込めて「先生」と呼び、そして選挙カーのそばに停められた威圧的な黒い車。権力ってそれ自身は目に見えないものだけど、物体や雰囲気に置き換えるとこれがまさに権力なんだな、と思いました。

あと候補者と実際に握手をするなど何らかの「接触」があると、公約やイメージを超えてどこか親近感が湧いてその人に投票しようかな・・・と気持ちがふと傾く部分を感じましたね。私だけでなくそう思う人は多いかと思います。地元をまわって握手をして支持を訴えるというのは、オーソドックスですがかなり有効なんでしょうね。営業マンと同じやね、このあたりは。

さてさてもう2日後ですね。どうなることやら^^

| | Comments (5) | TrackBack (1)

August 30, 2005

自民党マニフェスト【old】

見えないヘンなフォーマットが記事に織り込まれてしまい更新が困難なので、新規に記事を立て直しました。すぐ下の記事をご参照ください。

| | Comments (3) | TrackBack (0)

自民党のマニフェスト(教育)を読む

選挙戦も公示を迎え、自民党優位?で進んでいるようです。「政策本位で政党を選ぶ時代」と高らかに言う総裁の言葉はまったくの勘違いだと思っていますが、少なくとも政策は見ておこうと自民党のマニフェストの教育部分を読んでみました(自民党 『政権公約2005 自民党の約束』)。

読後の感想として、抽象的・曖昧・玉虫色、なんて言葉が出てくる内容だというのが大勢の意見じゃないでしょうか。必ず実現することを念頭に書かれた「マニフェスト」の内容としては、後でどうとも評価できる書き方にしているという感想です。はっきりしたのは「確かな学力」という「脱ゆとり」路線はそのまま継承されているのがわかることぐらいでしょうか。

なおマニフェストが書かれている同じ画面からたどって別途方針をまとめた『重点政策2006』というファイルが置かれており、こちらを参照するとマニフェストより多少詳細に書かれています。以下、引用しますが、長いのでポイントを絞ります。(全文はリンク先をご参照ください)

これだけポピュリズムに侵された政治諸相で具体的政策を見る意義があるか疑問を感じつつ、ですが・・

五、日本の未来を担う人材を育成します

1.教育基本法
 
教育基本法を改正し、豊かな情操と道徳心にあふれ、正義と責任を重んじ、伝統文化を尊重し、郷土や国を愛する心や公共の精神が身に付く教育、また、家庭や地域の教育力の回復を実現。

2.青少年健全育成・教育

(1)青少年健全育成の推進

少年の立直り支援、街頭補導活動等ボランティアの活動の活性化、インターネット上の有害コンテンツ対策の推進

(2)新しい時代を切り拓く日本人の育成と教育・文化・スポーツの振興

「確かな学力」育成学習指導要領見直し少人数授業習熟度別指導など個に応じたきめ細かな指導、「豊かな心」育成のための道徳教育の徹底、知育、徳育、体育と「食育」のを推進、栄養教諭制度を活用した指導体制の整備、奉仕活動・体験活動の体験、家庭教育支援

(3)優れた教員の確保・配置と信頼される特色ある学校づくり

教員免許更新制導入教員養成専門職大学院制度創設教員評価制度確立、学校における情報公開と自己評価の推進、各地域におけるコミュニティ・スクールの設置支援国による学校評価ガイドラインの策定外部評価システムの導入中高一貫教育校の選択促進

(4)確固とした教育条件の整備と財源の確保

義務教育の充実を国家戦略として位置づけ必要な財源を確保、特に国家の責任で全国一定水準の義務教育を確保

(5)国家戦略としての幼児教育政策の展開

幼児教育の無償化、就学前の教育・保育を一体化した総合施設導入への取り組み

(6)学校施設の耐震化とアスベスト対策の推進等、安全で安心して学べる環境の整備

(7)個性輝く大学づくりの推進

世界最高水準の大学院・法科大学院など高度専門職業人育成大学院の支援

(8)奨学制度の拡充による学生支援

(9)私学教育の振興と特色ある教育の推進

(10)国内外の人々を魅了する「文化力」の向上

(11)豊かなスポーツ環境づくりの推進

(12)学校の安全確保

4.フリーター・ニート対策

職場見学や中学校における5日以上の職場体験、主体性や社会性を育む体験活動の実施

教育政策の順番は、おそらくやらなければならないものをより先に書くものと思われますが、上記を見ると「教育基本法改正」は、まあ概念的なものだから先に来るものだとして、「青少年の健全な育成」「学校・授業関係」「教員関係」・・となってくるわけですね。まずは非行に走る少年たちを諌め、次に実際の教育の内容に関わる部分をやり、先生の質を高めていこう、というものだと思われます。内容を見るにつけ、中曽根内閣・臨教審と小渕・森内閣・教育j改革国民会議の両答申が色濃く見えてるなぁという印象です。「伝統」や「国家」、「豊かな心」、「特色ある学校づくり」など大筋は臨教審で訴えられ国民会議(とくに森総理に交代後)にかけて底辺に流れてきているものだし、「個別教育の重視」は国民会議会長・三浦朱門の方針だし、奉仕活動関連は同・曽野綾子の影響が見て取れますかね。どちらも財界や作家さんが中心となってまとめられた答申で、教育学者が後追いでその効果を検討している感があります。

その中で免許更新制、専門大学院はわりと新しい政策の部類に入りますでしょうか。更新制にはたしかに質を保証する点で私としては賛成なのですが強権的なやり方になってしまうことを危惧しています。専門大学院もそこを卒業する場必ず職員として採用されるということで、最近PISAで世界1位になったフィンランドを含め欧米では「マスター取得」が教員採用資格となっており、教員採用倍率が一部「200倍」にもなる現状ではやってみても面白いとは思います。が、果たしてどういう内容を教えるのか、こちらも強権的な内容になってしまうのではないかとも思われ、もうちょい骨格ができてからでないと判断できかねる部分ですな。

あと、いぶかしく思ったのは、「教育基本法改正」をマニュフェストに書いていないこと。物議を醸すモノはあえて載せなかったんでしょうけど。あとは懸念材料になっている「確かな学力」への揺り戻しや「少人数教育」、トラッキング、ストリーミングなどの「能力別編成」、「道徳教育」は議論の真っ最中ですね。先生の体制をもっと専門分化させる、すなわち人員を増やせない限り、これ以上個別指導は無理だと思っています。道徳教育はやるべきでしょうね。いま、道徳を語る人がどこにもいなくなってしまったわけだし、せめて学校で口やかましく言うことがない限り、それを知らぬまま社会に出て行くことにもなりかねないわけで。

結論。政策を判断するにはどれも情報不足です。このレベルで他の政党と比べなきゃあかんの?どうすりゃええんやろな、こういうとき^^ もう教育分野で比較せずに「郵政」とか「年金」で見ろってことか(笑)?うーん・・

| | Comments (0) | TrackBack (0)

August 19, 2005

金と権威と知名度と。(地方自治編)

#前回の記事にいただいたコメントへの返信を書いていたらあれもこれも書きたくなってしまったので改めて新規記事として書かせていただきます。

どもです。コメントありがとうございます。バイト&疲れでバタンキュ~と寝てしまい返信が遅くなりました。

たしかに地方議員の引き抜きは忌々しき問題ですよね。気づかなかったけどたしかにそうだ。もしかして自民党執行部は岡山市長のみならず横浜・中田市長にも声をかけてたんじゃないのかな?今の対立候補擁立に苦慮する自民党執行部から見て刺客としてこれほど最適な人はいないでしょ。政治的実績?もあるし、改革路線派だしね。これはあくまで推測ですが・・。

まあ執行部は「地方分権」をないがしろにしている、とは言わないものの対立候補擁立に躍起でそんなことは気にもかけないんだろうね。とにかく候補擁立が小泉自民党総裁トップダウンの至上命令なわけで。

で、自民党は引き抜きにかかるわけですが、これに対し地方議員側も「国会議員になりたい」という強い欲を常に持っていて機に乗じて鞍替えしてるんでしょうね。世の中の政治家(を含め大衆一般)が考える議員の「優劣」というのはほぼ以下のようになると考えます。

市町村議会議員  県会議員  知事・政令指定都市市長  国会議員 (さらに参議院議員衆議院議員)

政治家になろうとする者はやはり、地方より国家の中枢で知名度を上げたり権力を持てる地位が欲しいわけで。言いたいことは、引き抜く中央の政党本部と引き抜かれる地方の首長・議員はほぼ「魚心あれば水心」という関係が前提としてあるということ。たしかに現実には後者の議員が誘いを突っぱねる場合がありますが、それは自分の活躍できる場、もしくはうまみがある場が「国会」ではなく「地方議会」や「地方の構造」にあるからです。そういう人はよほど強い信念があったり、計算高くずる賢い人でしょう。石原都知事は両方(とくに後者)に当てはまる。国政じゃ外交問題での発言等言いたいことも言えませんからね。すぐ叩かれて辞職に追い込まれるでしょうし。

結局地方自治の担い手の多くは、教育社会学者であるマンハイムの言葉を一部借用すると「国政へと自由に浮動する政治家」なんでしょうね。その大半は政治資源やチャンスに恵まれないことで地方に根を落としているだけでしょう。だから政党による引抜きを結果として「破壊」ととらえることもできますし、もともと確たる信念を持っているかを確認する「踏絵」であるともとらえられると考えます。

#横浜・中田市長を上記で挙げましたが、彼は任期中には出ないでしょうが、終了後にはきっと実績をもとに国政に打って出るんじゃないでしょうか。もちろん自民党か民主党のどちらかで。もはや衆院はホリエモンや東ちづるを出馬させようとする話がでてくるほど人気投化傾向になりつつあるし、現在もこれからも政治・選挙に勝利するために必要なものは、よい意味でも悪い意味でも「知名度」でしょう。間違いなくそこには「ジャーナリズム」の看板を掲げた「商業マスコミ」の力が作用しているんでしょうが。。

さて。私なりに今後の地方議会(というか自治が叫ばれるなら「地方政府」と呼んだ方がよいかも)がどういう担い手によって担われていくかを予測します。

「小さな政府」のベクトルの中で地方分権は進んでいくでしょうが、だからといって地方が独立して事業を推進したり発言したりしていくとも思えません。逆に中央にますます依存する体質が構築される危惧を感じています。極論で例を上げると、日本で一番多い「土建屋」さんを食わせる仕事を増やすには手っ取り早く道路や箱モノをつくればいいわけですが、その際自治といっても中央とのパイプが太い方が断然いいわけです。いざ地方で経済対策といっても果たしてノウハウがあるだろうかと考えると、現状では(もちろん各県によって異なりますが)乏しいのではないか。となれば、中央とのパイプ作りや政策ノウハウを手に入れるための有力な人材を特に知事レベルで元国会議員(とくに族議員)や元官僚(とくに国交省・経産省・財務省あたり)の「下野」に求めることが多くなると思われます。もちろん地方から強烈にアピールできる人材がいれば話は別ですが、そういう人物は全国的に見ても稀有で、片手の指の数ほどもいないでしょう。

もし彼らが知事なりになった後のことを考えると、議員はもちろんですが官僚も政治色(とくに与党・自民党)を帯びているわけであり、中央からの出馬要請があればいつでも国政に目を向けてしまう傾向が出てくるのは上で示したとおりです。結論として、地方議会の担い手である知事層が中央をみながら「自治なるもの」を推進していくのではと、表面的な見方になっている感はありますが、考えています。

ついでに。地方自治下での教育行政についてヒトコト。

教育の地方分権へは「条件つき賛成」です。イギリスやフィンランドのように全国統一基準である「ナショナル・カリキュラム」の制定を中央(=文科省)が行い、あとは地方の実情に合わせて細かな規定は県の教育委員会が決めればよい、そこには独自の教育も盛り込んでよい、そして県や教育委員会への厳しい監査・統制は行わない、というのがよいのでは、と思います。しかし、地方は「保守色」がきわめて濃い場合が多いと聞きます。教育内容の決定は教育体系ではなく議会を通じての政治体系で決められるので、その地方の政治家と彼らが選出する地方教育委員会が下す決定にそれが素直に反映される場合も今後出てくるのではないでしょうか。

これを示す具体例は、地方でなくて東京都の、しかも「日本で一番弁護士先生が多い」杉並区。先日の『新しい歴史教科書』の採択が記憶に新しいところです。教育委員3人が2対1で採択を決定したという報道で、番組のコメンテーター(ゴメン、忘れた)は「杉並区長がかなり右派・保守派の方であるからその影響が出ているのではないか」とコメントをしており、かなり的を射た発言ではないかと考えます。

#まあ反対派も「子どもを戦場に送るな」というプラカードを掲げていたように、きわめて「時代遅れ」の日教組的反戦イデオロギーで批判や反対をしており、もっと今の時代に合った、イデオロギッシュでない「普通」の論理的反論を行う必要があったのではないか。あれじゃマスコミの有識者も味方につかないし、それを見るマスコミ視聴者も「また変な団体が・・」としてしか見ないのにさ。

いずれにしても「ゆとり教育」から最近の中山文科相が進める「たしかな学力」へ3年足らずで揺り戻された例に漏れず、教育政策がある程度のスパンで一定にならないのは一部には政治勢力の影響、とくに権力のある立場の人間による「一声」に影響を受けすぎている部分があるからだと思っています。きわめて教育って政治的弱者なんですよね。

話を戻すと、この『杉並教科書事件』が新しい歴史教科書も含めていろいろな地方で出てくるんじゃないかと危惧しています。自治で自分達で決めよう、となるわけですしね。果たしてこの場合、正しい判断が下せるのはどこなんだろう?民主主義の世の中、議会こそが正しい、と言われたら何も言えなくなりますな。。困ったもんだ。

少なくとも地方自治で独自に機関等を設置できるのであれば、より政治と独立して政策を客観的かつ科学的に成果が上がるのか分析できる機関、「チェックアンドバランス」を可能とする機関が必要だと思っています。どうせだったら各県に一つずつある国立大学法人(元・国立大学)にそれを設置すればええんやないの?なんて思いつくまま書いてみますが。もちろん、この設置を決めるのも政治体系の中であり、「自律」を考えようとするかはきわめて首長の政治判断によるところが大きいのでしょうけどね。

以上、長々と又書いてしまいました。呼んでいただいている方には大変感謝です。ぜひコメント等をお寄せいただければと存じます。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

August 17, 2005

金と権威と知名度と。

自民党執行部は阿呆である。

・・と唐突な書き出しで申し訳ない。「相手への批判は必ず自分に跳ね返る」ため極端に相手の人格をけなす様な言葉をなるべく使わないこと信条にしているのだが、今日の議員候補擁立の話はまったく「国民」をなめているとしかいいようがないのであえてこう言わせてもらう。これはもちろん、ホリエモンと東ちづるを自民党が擁立することに対して、である。

自民党が見ているのはホリエモンや東ちづるの「知名度」だけだ。集票マシーンとしての彼らにのみ期待していて、その後の政策形成に多大な役割を担う衆議院議員として彼をまったく見ていない。政党たるもの、政治的手腕があることを政治的実績を通じて革新し、候補者として公認すべきである。はたして彼らに何の政治的実績があるだろうか?

もちろんこの問いに対しては既に回答が用意されていて、「これまでの手腕から潜在力、ポテンシャルが見込める」と言うだろう。そんなもの、知名度のある人間にはすべて当てはまるじゃないか。それでも参議院ならまだいい。参議院は別名「良識の府」であり、要は多様な人材が審議過程に加わることが目的なのだからそれならそこにいてもいいという部分はあるだろう(個人的にそう思わないが)。しかし、ここは衆議院であって参議院ではないのだ。参議院の存在意義(レゾン・デートル)が問われ「一院制」も叫ばれるているとおり、衆議院こそが本当の議論や審議の場所でなければならない。それなのに自民党執行部がやろうとしているのがこれだ。

前の記事でも指摘したが、いまや政策の焦点などを含め、すべて政治的なものはよほど国民の肌に触れるようなものでない限り政党が提示したものを「選ぶ」だけになってしまっている。「ファシズムの再来」と仰々しく言う知識人もいるが(私は嫌いである)ただ言われたものに追随する姿はたしかに似てしまっている。あくまで「国民」が政治的に無関心であることを知った上で、議席だけを確保しようとする姿勢。それは「国民不在の政治」を行うにはもってこいの状態である。彼らは確信犯である。この姿勢に非常に腹が立つ。

もう一つ、ホリエモン自身に批判したい。彼が出馬すること自体は、彼を「IT業界の代表者」として捉えての立候補ということで従来どおりの自民党らしい出馬と言える。しかし、彼がおそらくとるであろう政治活動の傾向と対策として見えてくるものは、自分の業界を有利にする「利益誘導政治」であり、それを愚かでない執行部は「想定の範囲内」として黙認するということか?とんでもない話である。

一部のマスコミ視聴者から見れば彼は「時代の寵児」であり「革新者」である。そしてそれを政界においても当てはめて考えようとするかもしれない。もしかしたら民営化あたりの話でより具体的経営施策を考える段階ではその手腕を発揮するかもしれないが、国会議員とはそれだけでない。ただ言われて立候補して議員になって(おそらく当選するだろう)果たして社会的弱者を見て政治活動をするだろうか?自分にとってプラスになるだけの人間しか相手にしていない人間が政治家になることは甚だ疑問である。議員活動とは非常に地味であると聞く。そんな活動より華々しいIT(もとい利益追求)の世界に戻るためすぐに辞職してしまうことも想定される。いつぞやの大橋巨泉のように飽きたら辞めてしまうのでは?最初から議席ポストありきで政治理念も信念も持ち合わせてないのだろうし。

話を少し広げる。一般に企業の経営者が考えることというのは「金」の次に「権威」である。つまり「国民」の代表として議員になり、学会で代表者になることである。この枠で括ってはいけないのかもしれないが、私の地元は「マツモトキヨシ」の社長が前々回まで自民党議員に立候補し当選していた。(その後は引退し、地盤を息子に譲ったものの前回の選挙で民主党議員に議席を奪われたが。) 

経営者はその地位を確固たるモノにしようと企てるとき、「一城の主」という地位からより広範的・普遍的に認知された地位を得て、自らの地位を保証させる。歴史的にもフランス・ブルボン王家はルイ14世に代表されるとおり、当時普遍的な価値を持っていた宗教を通して地位を確立したし、南米では大地主や大金持ちがきわめて強い政治的ポストを握っている事実にも示される。今回の話はホリエモンにとって、まさに「渡りに船」だっただろう。現代において「金」と、とくに「知名度」があれば政治家という「権威」は容易に手に入れられるのであり、逆にこれらを持たなければ政治的世界からだんだんと政治世界から駆逐されていくようになっているように思われる。非常に嘆かわしい。

もう一つ。彼を出馬させようとした民主党も大阿呆である。来るべき「二大政党制」を担うであろう自民党も民主党も両方とも阿呆だ。結局、今の世の中政治は「知名度」か。くだらない。

ホリエモンの擁立に対し、無党派層はどう動くだろう。世論は彼にあまりよい感情を持っているとは正直思えない。おそらく福岡1区の議席は獲得できるかもしれないが、全国の自民党支持層の一部には自民党への投票を押しとどめるよう作用するように思える。それでもまだ自民党が有利だと分析している。

私自身、選挙に行く気が失せてきた。国民」はなめられているぞ。それだけは声を大にして言いたい。

今回は以上。

| | Comments (1) | TrackBack (4)

August 16, 2005

8.15と「東アジアの火薬庫」

うちの父母は二人とも戦後生まれのため、私はさしづめ戦争未経験の「2世代目」になるでしょうか。私にとっては「終戦記念日」といってその言葉から「終戦」を想起するより、むしろ「8.15」という数字だけの無機質な表記から「終戦」を想起した方が感覚としては合っている気がします。

今日、靖国神社に行ってきました。夕方にもかかわらず非常に多い参拝客。年代は時間帯ゆえか高齢の方は少なかったですが、私の父母くらいの年代の方も多く、また私と同じくらいの20代後半くらいのワカモノも多く、わりと背広姿で訪問する姿が目に残りましたね。仕事帰り、でしょうか。私はジーパンにコムサのシャツと、きわめてカジュアルな格好でしたが。いつも以上にマスコミ視聴者の意識を戦争に向ける報道や番組が多かったことがこの背景にあると思われます。

改めて靖国神社の近況を見直すと、第一次大戦前のユーゴスラビアが「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれたのになぞらえて、もはやいまこの場所は「東アジアの火薬庫」とか「東アジアの火薬奉納庫」と呼んでいいのかもしれません。この靖国神社にはこれまで日本の戦没者やA級戦犯など「英霊」の魂が奉られていましたが、いまやそれだけでなく、韓国・中国の国民統合を容易に可能とする「国家イデオロギー装置」までもが奉納されています。この装置には「電気コード」が備えつけられており、各国マスコミがこれを握っている。その「電源コード」の先のプラグを各国のメディアという「コンセント」に挿しこむと、とたんに韓国や中国から反日感情の「電気」が起こり、その「電気」がこの装置を起動させます。状況に応じて「電気」の出力量も異なりますが、ここ半年の破壊力はすさまじかった。この出力量の加減はマスコミによる「コンセント」への挿し方も密接に関係していますが。各国政府はいまやこの「装置」の扱いに苦慮しており、一刻も早く解体されることを願っています。・・少なくとも平常時は。しかし、いざ自分のところの政情が不安定だと逆にこの「装置」の力を利用する。つまり、自分達の政権確保のために日本にある「装置」を起動させてるんですよね。東アジア国家、とくに韓国・中国にとってはいつまでもこの「装置」を確保しておきたい。こういう思惑があるからこそ、いつまでたっても解決できない問題を常に靖国神社は抱えていると分析します。

そんな中で我々がどう靖国をとらえるかって問題はさらに輪をかけて難しい問題。日本人として今の繁栄の礎を作った祖父達への敬意を払わなくてはならないと考えるのも論理的に正しいと思うし、また史実的にアジアへの侵略を行い(南京で虐殺があったかないかを問わずね)多くの人を殺したことは事実であり、それを反省しなければならないと考えるのも論理的に正しいとらえ方でしょう。感情倫理か責任倫理か、マックス・ヴェーバーが生存命だったらぜひ問うてみたいですね。私個人はより後者を強く意識している立場だと思っていますが・・。

さて靖国神社の風景を写真に納めたので並べてみます。

VFSH0004

まずは参道の真ん中にそびえる日本陸軍の創設者、軍神・大村益次郎の銅像。夕日に映えてキレイでした。有名な人物ですが、彼の生涯をNHKの大河ドラマになった司馬遼太郎『花神』から要約します。

長州藩のいち村医者であった大村(当時は村田蔵六と名乗っていた)は医者修行のためにオランダ語を大阪・適塾で緒方洪庵に学び、語学ができるということで宇和島藩に登用され、そこで軍艦等の建造に携わり、同時に西洋の兵法を学ぶ。それから幕府に呼ばれ江戸で医学と語学の塾を開いていたところで桂小五郎にその器を見出され、その後長州藩に武士として召し抱えられる。桂小五郎主導の長州藩は彼を軍の指揮官に据え、彼の力でその後の幕府の長州征伐軍や上野・彰義隊を打ち破り戊辰戦争に勝利する。明治維新後は陸軍の創設に尽力し、国民皆兵を提起するも、京都にて暗殺未遂事件にあい、その傷がもとで死去。

大村益次郎は坂本竜馬の「亀山社中」などと手を組み欧州の最新型の銃を揃え、また戦略的にも西洋の最新の兵法を知っておりその最新兵器を生かす戦い方を知っていたことが、軍事的側面で明治維新に多大な貢献したという見方を司馬遼太郎はしています。

その大村益次郎像の先の休憩所での模様がこれです。

VFSH0005

右翼の一団ですね。6、7人で♪同期の桜~と肩を組んで唄い、国旗を振る。軍服を着ている人もいました。右翼、ねぇ?

もう一枚。

VFSH0006

靖国神社の本殿に向かってモンペ服で土下座する女性と、それを撮るカメラマン風の男性。カメラマンは女性に「このポーズで・・」という要望をしていました。彼は右翼の広報担当者?それとも右翼とはこういうものだ、という姿を強要している?異様な光景だったのでシャッターを押してしまいました。

あとは「英霊」の眠るとされる本殿。

VFSH0009

老若男女問わず多くの人が参拝していました。手前の警備員も暑さのため顔をタオルでぬぐっています。

そして、場所を移動し、千鳥が淵戦没者慰霊碑へ。無縁とはいえ戦争戦没者を祀っている場所にも関わらず、訪問者は靖国に比べれば極端に少なかったです。献花の中には内閣総理大臣・小泉純一郎の名前も見受けられました。

VFSH0012

写真は以上です。

最後、教育に話をつなげてみます。きっと「靖国をどうとらえるか」「戦争をどう伝えるか」というテーマでしょうか。思うのは、どのように伝えるのかという部分かな。ただの知識(受験知)として教えるならいくらでもやり方があるし苦労しないだろうけど、それを人間のそれこそ「es」(=深層心理)の部分にまで落とし込む必要があるわけで。そうなると何らかの科学的方法を用いる必要がある。ただ戦争は悲惨だという映像なりを見せても、今の子にはまるで「異国の実感のない物語」のようにみてしまえば何の意味もないわけで。個人的には、各人の持っている「人がいなくなって悲しい・つらい」という感情とうまく戦争を結びつけて教えるのが近道かなぁ、各人に自分がどういうときに悲しいか、つらいか思い出させて、それに戦争で人を失った姿を結び付けさせて・・ってイマドキの子どもは感情との付き合い方がうまくないしなぁ・・と頭の中で来るべき教育実習に向けてシミュレーションしてみるも、答えはなかなか出てきませんね。

以上、長くなりましたが、今回は以上で。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

August 12, 2005

それでも自民党は勝ちあがる(第2版)

#友人から再度コメントをもらったので、それに対してアドオンする形で記事を書かせていただきます。ちなみに昨日はオバケバイトでお盆近くのため増えたお客さんを半日驚かし続け(様子は以前の記事をご参照)、肉体の疲労に勝てずROMっただけで眠りに落ちてしまいました^^それにしても疲れた・・

以下に、今までの私の考えとして挙げていた根拠に論拠を補足したものをまとめましたが、その前にこの選挙の背景と選挙の大勢を決めるものについて私の考えを先にまとめさせていただきます。なお記事のポリシーとしてなるべく人名には役職名や肩書きを付けています。

■マスコミ視聴者の間に横たわる民営化待望論

最近の世論を見ると「民営化」の機運が非常に高まっています。郵政を問わず、道路公団、社会保険庁等々のいわゆる「問題機関」として報道される機関に対してはとくに。この中で猪瀬直樹氏が委員を務める「道路公団民営化委員会」の中で談合に関わった副総裁が逮捕されるという、民営化推進論者にとってみれば民営化への「前進」(実際はそうじゃないんだろうけど)がありました。マスコミも大々的にとりあげ、猪瀬氏はそれこそ鬼の首をとった桃太郎のような印象をマスコミ視聴者は受けている。マスコミはもともと民営化論者が多いでしょう?それに加勢する猪瀬氏の「功績」は強い影響力を持ち、同時に彼を委員に据えた小泉内閣、もとい小泉首相は視聴者から「強力な民営化推進者」として見られている節があります。本人は郵政以外はほとんど発言していないのにね。猪瀬氏も小泉首相支持を訴えているし、一般の視聴者から見れば小泉首相の路線で行けば民営化は可能ではないかと思い込んでいる。

ちなみに民営化について有識者は「世界でほとんど行われている」と述べていますが、具体的に徹底して実施されているイギリスを取り上げてみます。1980年代のサッチャー首相が強く押し進めた「エージェンシー制」は非常に参考になります。このブログを読んでくれている人には「釈迦に説法」ですが簡潔に述べさせていただくと、これまでの官庁業務だった「企画立案」「行政執行」のうち後者をエージェンシーとして独立行政法人化し民間に近い形で運営する。前者はそのまま残して規模を縮小する。またエージェンシーの長は「公募」で採用され、幅広い分野から任用されている。またアングロサクソン国家には特徴的ですが「業務評価」を対内的かつ対外的にも受け、監視監督されている。このような改革の結果、行政関係費が財政を逼迫し「イギリス病」とまで呼ばれていた状態から現在脱却を遂げ、財務体質はかなり改善されたと多くの研究者は分析しています。

そもそもなぜここまで民営化が望まれるかについて考察すると、やはりこれらの機関への反発心や嫌悪感から生まれてくるものだと思います。日本の経済活動を行うほとんどの人が民間企業に在籍しており、近年の民間企業における利益至上主義や成果主義など猛烈なコスト削減・成果重視の厳しい方策に耐えている。私も半年前まで身をもって経験しましたが、それはそれは各企業で大変な努力をしていますよ。それなのに、これらの機関では「ムダ遣い」「不正」が行われていると報道される。大変な不快感が生まれます。視聴者に感情的に不快感を持たれた場合、その母数があまりに多いため大変なパワーとなる。そのパワーとしての視聴者にマスコミは知恵を注入する。それが「民営化」による問題解決です。郵政は関係者が多いからまだまだ一致した意見になりませんが、道路公団や社会保険庁については民営化に対しほとんどの人が賛成していると思われます。その際、法案の中身なぞは見ておらず、マスコミの流す「民営化」という言葉の響きだけで判断していることは指摘する必要がありますね。

ここで話を戻すと、「民営化」という点でマスコミと小泉改革、もとい小泉首相がそれこそ「見えない手」で結託しているわけです。視聴者も猪瀬氏の行動に拍手を送り、マスコミの流れに追随している。そして以下の図式が出来上がる。

「郵政民営化法案可決、郵政の民営化実現」⇒「道路公団・社会保険庁の民営化実現」⇒その他公的機関の民営化

私が思うに、今の選挙の争点として挙げられているもので一番は「社会保険・年金」となっていますが、マスコミ視聴者にとっては、「まずは民営化」「民営化してから考えればよい」というのが大多数の意見なのでは、と考えます。すなわち年金等の問題を「社会保険庁の民営化」の問題に摩り替えて考えられているように見受けられます。小泉首相はむろん言及していません。民営化論だけ一人歩きしてしまっている。つまり、民営化における大勢の認識というのは、お役所の「硬直」「官僚主義」を打破し、より広く人材を抜擢して柔軟性のある対応策を取ることができるようになることであるというもので(私は半分疑問ですが)、一番の関心テーマが「民営化」論に集約されているように思えます。となれば、やはり「郵政」がまず出発点、ということで「郵政民営化」だけ論じてもしっかり焦点足りえるように見えます。あくまで「見せかけ」だけはね・・

■選挙の大勢は無党派層が握る

ここで選挙の大勢を決めるものについての言及しますが、私はやはりマスコミ視聴者のほとんどを占める無党派層だと思っています。世の中の流れも個人の良心をベースにした意思決定が尊ばれている中で、近年では「組織票」は感情的にも敬遠され、段々と少なくなってきているように見受けられます。(むろん公明党を除くことは言うまでもないですが・・) もちろん、組織票をまとめる求心力のある人の有無は影響しますが、郵便局においてはそういう人も見受けられない気がします。思い起こせば前回の自民党総裁選挙のときも、一次投票(全国の一般党員による投票)では、結局組織票は機能せず党内のどことも利害をもたない「党内の無党派層」が大きくモノをいって大差で小泉首相候補を支持し、その後の二次投票や議員投票でもその結果を受けて勝ち上がった。正確な数字はわかりませんので強くは言えませんが、今回の選挙も支持者の割合的には似ている気がしますし、近年においては無党派層こそ選挙の大勢を決めるものだと思います。もちろん、選挙区で区切られるから選挙区ごとで強弱があって場合によっては強い影響を持つかもしれませんが・・。

■背景から見えてくる選挙の大勢予測

今回は郵政と年金・社会保険問題、十把ひとからげにして「民営化」が焦点になるでしょう。マスコミ視聴者はこれができる政党を選ぶはず。だから、現状ではなんとなく実績(?)のようなものがある自民党がリードする。民主党は党首をはじめ、話の内容はわかるけど果たしてどれだけ実現できるか未知な部分が多いし、党首同士で見ると明らかに小泉首相に軍配があがりますな。でも選挙制度や自民党の内紛で漁夫の利を得て民主党が若干議席を伸ばすことは予測できます。

あとは今回の表舞台には出てこない公明党は現状維持。副党首が鞍替えした社民党は党首ともう1人くらいがやっと当選、共産党も自民党や民主党に押され若干議席を減らす、このように予測します。

***

ちなみに上記であえて「国民」という言葉は使いませんでした。これほど聞こえはいいけど実体がほとんどない言葉は、どうも現在の政治を議論する際には不似合いだと思われるからです。500マイルさんからの指摘で「選挙の焦点を決めるのは国民」とありましたが、原則はたしかにそうでしょうね。でも積極的にイニシアティブを取ってこれを焦点にしろ、と言って政党にたたきつけるようなことをしているでしょうか?むしろ逆で受け身になっているように思えます。政治をブラウン管を通してしか見れないマスコミ視聴者からみると、そこには広く広がる政治的無関心のためか、政党とマスコミ視聴者の間に権力的な隔たりができつつあると感じています。実際の諸相を見てみると焦点として「決めて」いるのは政党であり、それをマスコミ側が仲介して「尾ヒレや胸ビレ」を付けて、それを最終的にマスコミ視聴者がただ「選ぶ」だけになりさがっているのが現状ではないでしょうか?より具体的に言うならば、「郵政民営化」を焦点として提示する自民党に、マスコミが「道路公団や社会保険庁の民営化」をくっつけ、それをマスコミ視聴者が「それなら焦点として考えましょう」と言っている、というふうに見えます。だから実際に焦点を決めているのは政党、という書き方をしました。「国民」という言葉はもっと積極的な意味で使うべきかなと考えています。

***

あとはこれまでの「自民党が勝つ」という私の考える論拠の補足です。

(1)造反議員37名のうち半分当選

zohangiin左の画面はニュース番組の動画からキャプチャーしたものですが、赤字の候補は間違いなく当選してくる議員でしょう。思うに亀井・綿貫候補の選挙区には刺客が送られると言ってもヘタに票を集められる候補だと分裂の悪影響をもろに受けるため、執行部もよく言えば「ほどほど」の対立候補者を立てる気がします。まあ小林興起前議員は、党に有益な力を持たずに批判ばかりしてしまったがために真っ先に嫌われてしまって、自民党の「あずみ」小池百合子議員をぶつけられた、というのがありますが、赤字議員でこのようなことは今後あまりやらないのではと想定しています。

今日、「第二の刺客」と「第三の刺客」をフジテレビの「とくダネ」で見ました。第二は元通産官僚で現在の岡山市長・萩原誠司候補、第三は財務省の現職女性課長・片山さつき候補だそうです。そしてそれぞれの立候補区は言葉は悪いですが、それほど有名でない造反議員の選挙区(岡山2区と静岡7区)。彼らも選挙では分裂選挙とはいえ自民党支持者からももしかして民主党支持者からも票を集められる見込みがあるかもしれません。あと造反議員の能勢議員が出馬辞退とか・・

ちなみに、あえて「とくダネ」と番組名を出しましたが、マスコミも「エヴァンゲリオン」のあの表記方法や音楽を使って面白おかしく盛り上げますな(笑)ああすると、嫌でも造反議員vs対立候補の図式しかマスコミ視聴者は意識せず、ますます選挙の本来考えるべき争点から離れていきますわな。。

話がそれましたが、あくまで、刺客が勝てそうな造反議員選挙区を狙って支持団体の分裂を超えた無党派層や他党支持者を取り込んでいくように進めていくのではないかと思われます。

(2)無党派層は自民党に流れていく

この論拠は上で書いたように郵政を代わりにした民営化待望論の背景からです。

たしかに500マイルさんの指摘されるように支持率の上昇は「解散直後の数字だから」とみるのは正しいと思いますが、選挙まで1ヶ月を切っているという中で、自民党から離れていく要素として見られるべき対立候補の擁立がマスコミによって上記の通り面白おかしくとりあげる風潮では、むしろ「どんどんやれ」という感覚になっていくように思われます。無党派層がほとんどを占めるマスコミ視聴者はきわめて感情面に流れることが多いと思いますよ。また、離れていく人はもうすでに離れているのではないかと思っています。

(3)特定郵便局長会および郵便局関係者も結局は自民党へ

結局自民党に入れないといっても、選択肢はほかにあるのか疑問です。公明党は同じく政権与党だし、民主もどこか頼りなく結局やろうとしていることは民営化路線で一緒だし。彼らは郵政民営化自体に反対しているのではなくて、その中の条項に疑義をつきつけていることもあるでしょうが、ただ政府自民党に反対している部分も大きい。私の予測では、短期的に郵政法案を引き伸ばす民主党か、将来的にも手を結んでなるべく要求を入れてもらうべく恩義を売れる自民党か、という選択肢で後者を選ぶ可能性もあると思っています。

(8/13追記 民主党の郵政への対応策を見ました。正確には「現在の郵政公社のまま規模を縮小していく」ということだそうです。しかし規模だけ縮小すると言うのはただのリストラではないか?民営化におけるリストラならそれなりの理由になりますが、ただの規模縮小のリストラはされる側にとっては不合理な不満だけが残るようになる。郵便関係者がどこまで見ているかわかりませんが、民主党でも苦境に立たされることだけはたしかですね。)

(4)選挙の焦点を「郵政民営化」に絞る自民党戦略

上記でも触れましたが、選挙の焦点を決めてシナリオを書いたり配役のキャスティングボードを握っているのはいまや自民党です。マスコミ視聴者(ほとんどは無党派層)はそのシナリオを受け入れるだけの存在に成り下がっています。そんな中で「郵政民営化」というキーワードに集中特化する作戦は予想以上に効を奏するものと予測しています。500マイルさんの言うように「郵政熱は冷める」かもしれませんが、その下火としての民営化への炎はずっと燃え続けて逆にこちらが一人歩きすると思いますよ。

(5)比例も自民党が優勢

無党派層が大勢を決める、と改めて考えると、今回は「自民党」「民営化」というこの2つのキーワードで投票も候補者だけでなく「自民党」と書くかもしれない、という気がふつふつしてきました。まあ郵政関係者は自民党に入れる人、入れない人わかれるでしょうが、大勢は自民党に有利でしょう。

***

いろいろ書きましたが、無党派層は「民営化」や体制の改革推進ができる政党と見られる自民党に流れ、焦点が郵政民営化に絞られること、造反議員と対立候補が相当数当選してくること、というのが重ね重ねですが自民党体制維持論の根拠です。

☆☆☆

ちなみに私の希望は、とにかく「政権交代の経験」なんだけどね。実現しそうにないなぁ。

というか自分の考えをまとめるにあたって、かくも政治って骨抜きになったんだがされたんだかを痛感しています。

| | Comments (3) | TrackBack (8)

August 10, 2005

それでも自民党は勝ちあがる

#前回の記事で友人からコメントをもらい、それに対してコメント欄で書いてたらかなり長くなってしまったので、記事の方に書かせていただきます。

いや、それでも大勢はかわらず、民主党は政権をとれないと思われます。以下、その理由を列挙します。

(1)造反議員37名のうち半分近くが当選

半分は有名議員、かつ彼らは非公認とはいえ自民党に在籍し力を持っているし、綿貫・亀井等「半分」は当選してくるのでは。郵政が済めば党の公認を取り戻すことは想像に難くない。
#中には小林興起の東京10区に小池百合子が出馬するという「同士討ち」もありますが、小池ならその知名度で小林にも民主党議員にも勝てるという算段をしていると思われます。

あと上記議員を除いても212以上の議席があり、ここは民主党の議席に変わるとは思えません。こちらは現状維持。となれば自民党だけでも210議席プラス造反議員の半分(約18議席)で230議席の確保は最低でも取れる。あとは対立候補gが当選することを望めばなんとか単独過半数に届くやも。最悪、連立与党・公明党も合わせれば少なくとも過半数は間違いなく超える計算となる。

まとめると、議席数は若干民主党にとられはするものの、大勢は変わらないと思われます。

(2)無党派層は自民党に流れていく

首相の独断的政治手法が非難はされているものの、支持率は上昇している。そしてそれが無党派の自民党による政権担当を望む声につながっている。選挙では無党派の動きに大きく左右されるのは言わずもがなで、例えば毎日新聞(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050810-00000014-mai-pol)では自民65%・民主50%、読売新聞では
自民45%・民主30%となっているように、一貫した政治方針が自民党政権存続を望む声につながっている。

たしかに無党派層が「実際に投票するのか」という危惧もあるわけですが、実際に公明・特定郵便局長関連の票数より全国の無党派層の数は圧倒しており、感情的にもそれほど悪い印象をもたれていない自民党がかなり有利な位置に立っていることは間違いないはず。

(3)特定郵便局長会および郵便局関係者も結局は自民党へ

結局自民党も民主党も公明党も「小さな政府」を目指し民営化をやろうとしているわけで、グローバルな流れの中で遅かれ早かれ郵政は民営化されるわけです。民主党も「2年間は公社で必要な改革を」と言っているだけで、ベースには民営化を強く意識している。要は、来るべき民営化のときに特定郵便局局長会は「どれだけ自分たちの身の安全が守られる」かが焦点となる。こうなるときに自民党と民主党のどちらにつけばより政策に影響力を与えられるかといえば、やはり民主党はまだまだ青く見えるのではないでしょうか。今までの自民党とのパイプは温存すると思われます。となれば、若干民主党には流れはするものの、組織票としては自民党から離れないと見ています。

(4)選挙の焦点を「郵政」に絞る自民党戦略

選挙の焦点を自民党はあくまで「郵政」にしようとしている。これに対し民主党は「郵政とそれ以外」に広げようとしている。民主党が郵政に対し対案を提示しきれなかった部分があって、それが上のデータに示されるとおり政権担当支持で自民党に劣る原因ともなっていると思われます。いまのところ、焦点は自民党がきわめて意図的に「郵政」に絞ろうとしており、時間的制約からも焦点は広がりえないのでは、と分析します。

***

いろいろ書きましたが、無党派が味方に付いていること、焦点が郵政に絞られること、造反議員でも当選してくること、というのが私の自民党の大勢が変わらんとする根拠です。まあ無党派とされる多くの一般人は感情面で動く傾向が強い、という批判もものすごく私の中には強いのですが・・。

☆☆☆

ちなみに私の希望は、民主党による政権交代です。そしてこれを機にイギリス並の二大政党制に移行することを強く望んでいます。長期政権で官僚と癒着し続ける政治意思決定構造は非常に問題を感じています。

普段、教育政策の形成過程を検討しているのでこの点から言わせてもらえば、教育政策の形成過程は教育側で行われるのではなく、必ず政治過程を通して決定される。つまり教育は政治に従属しているわけです。とくに初等中等教育(小・中学校)においては自民党の「愛国心」「伝統」等のファンダメンタルな部分が政策形成集団である「族議員」によって色濃く出ていて、教育に科学的に必要な政策というより政治的に必要な政策が展開されてきた。二大政党制なら少なくとも一つの政党色は排除され、より客観的に検討できる可能性は格段に高くなるはず。審議会、文教部会等々政策決定のアリーナにて政治色を排してより科学的な教育政策を導入しやすくするには政権交代が必要だと私は考えています。

むろん、いまの自民党と民主党が二大政党になってもそれはイギリスの保守党と労働党のような大きく階層を二分しての支持母体になるわけではありません。むしろお互い戦前の「政友会」と「民政党」のような、ともに財閥(政友会は三井、民政党は三菱)のような経済的に強力なバックボーンを支持団体とする政党だから、支持基盤の階層的な差異は見られません。

#支持層の違いをあえて指摘するとすれば、自民党は大手財界や大手利益団体、農業関係者等で、民主党は都市部の労働者やビジネスマン、大手労働組合という感じでしょうか。この区分けもきわめて曖昧ですが・・

しかし、まずは「政権交代」という現象が日本社会でも起こりうることを経験しなければ「市民社会」は作られないのであり、政治家任せで知らぬ間に不利益を被るような政策が展開されてしまうはず・・と政治家か学者かのような危機感をあおりたてるような書き方をしちゃいましたが^^

自民党はおそらく「勝つ」でしょう。今回も小泉総裁の力は偉大だと思われます。「古い自民党をぶっ壊す」というのは大変聞こえのよいフレーズ。たしかに魅せられます。でも、私はあえて政権交代を望みたい。

今回は以上で。

| | Comments (7) | TrackBack (1)

August 09, 2005

「郵政解散」に見る政治諸相 その1

昨日郵政民営化法案が参議院本会議で否決され、その直後、小泉総理は衆議院を解散する決定を下しました。郵政を争点とした解散・総選挙。政局が一気に代わる可能性も秘めており、大変興味深いです。

解散後の報道で「ガリレオ・ガリレイの地動説」の話で「それでも地球は回っている」として、いかにも「真理」は自分の方にあることを主張する総理。郵政法案自体は参議院で否決されても再度衆議院で審議を行って可決すれば成立はしますが、その可決には衆院の3分の2以上の賛成が必要となり、過半数ギリギリだったことを考えれば成立はほぼ絶望的。つまり、どうしてもこの法案を通すなら国民の審判にかけ、「世論は民営化を望んでいる」ことを獲得議席数で誇示する必要がある。この意味で解散・総選挙しか道がなかったことは事実。

私自身は郵政民営化には賛成です。世論も賛成派がかなり多いように思われます。この法案に関しては民意が反映されていない。反対されるのは政局や首相のやりかたなど法案外の要因が密接に絡んでいることはたしか。

では今後、政局はどう動くかの予測をしたいと思います。今回は教育ではなく真面目に政治の話。

①小泉首相について

今回の決断はかなり思い切った決断だったなぁというのが一番の感想。「郵政民営化」というきわめて個人色の強い思いが解散まで引き起こした。一般的には、大きな政策課題があって、衆院ですら通らない見込みのとき解散・総選挙になることが最も多く、また内閣不信任案が可決されて総理が解散をする場合もありますが(これまで大平・宮沢内閣の2回、と思っていましたが500マイルさんのご指摘で解散は現行憲法下で4回とのこと。上記に加え、あと2回は、第二次吉田内閣の「馴れ合い解散」と第四次吉田内閣の「バカやロー解散」です。ダンケです!)、参院での法案否決で衆院を解散したのは初めてでしょう。

それにもまして思い切った決断だと思ったのは、自民党は中曽根・宮沢内閣あたりからずっと「総・総分離」原則というのがあり、これを完全に犯したことです。首相は「総理大臣」であり「自民党の総裁」であるわけですが、最近は「自民党の総裁としての仕事は最大派閥の領袖に任せ、総理としての仕事を行う」という「総・総分離」が一般的でした。だから解散も主要派閥の意志で行われることが多かったですが、しかし、小泉総理は違った。要所要所で「総・総融合」を行い、極めて独断的にリーダーシップを発揮し、とくに今回はヘタをすれば民主党に今まで獲得していた議席を奪われる可能性も大いにあるなか、決断に踏み切ったことは自民党の総裁という立場を離れきわめて大統領的に政治を運営したともみることができます。

このタイプとして中曽根元首相が似ているともいえますが、派閥をほとんど意識しない小泉首相は自民党の常識を入れない「新型」の総理総裁と捉えられるべきでしょう。面白いのは完全に孤立した独裁者ではなく、しっかり執行部を押さえ、政党中枢部をコントロールしていること。派閥を超えてトップダウンで自分の意志を反映する力を確立しています。今回はまず自民党にはなかったタイプ。そもそも郵政民営化というのはほぼ「個人の強い思い入れ」であり、それを解散のネタにして国民に問うというのは考えてみればかなりの独断的な専制政治をしているわけです。それでも国民(世論)から猛烈な反発が起きず、むしろ歓迎的なムードさえ漂っているのは、世論が民営化を望んでいる人が多いのに結局不成立になったことで感じる造反議員への反発、とくに法案に対してではなく政局に対する反対運動への嫌悪感を感じているからだと思われます。

この意味で、来るべき9.11総選挙の結果、大勢はほとんど変わらないのではないかと予測しています。そもそも執行部では解散・総選挙をしても自民党が過半数を取れる計算がされているからこそ解散にふみきれたんじゃないか。結局反対派というのは大物議員が多く、自民党を離れたわけでなく、ただの「非公認」なわけで、知名度だけで当選してくることも想定され、結果議席数は民主党に取られるなど若干減りはするもののきわめて現状維持をするのではと見られます。造反議員にとっては小泉首相と自民党執行部の力を思い知る「見せしめ」選挙になる。「郵政を利用して反対勢力を一掃しようとしている」と述べる議員もいますが、完全な一掃ではなく、こと郵政に限定しての一掃であり、あとは持ちつ持たれつの関係をこれからも期待しているのではないかと思っています。

しかし、これを機に「首相完全トップダウン」の新たな自民党政治方式が「確立」とはいかないまでも「型」が作られる予感がします。もっともこの方を引き継いでいける人材が自民党に見当たらないので単発的に終わる運命にあると思いますが。

***

首相に関してはこの辺で。次回は造反議員の行動を予測します。

| | Comments (3) | TrackBack (3)

June 15, 2005

「そんな弱気でどうするんだ!」

自民党が作った郵政民営化の紙芝居の一幕。

昨日の国会の答弁で紹介されてましたが、郵政民営化をわかりやすく解説した自民党の紙芝居の話です。その中で、若い郵便局員が「そんなに効率化を進めたら田舎の郵便局は潰れちゃうんじゃないか」とこぼしました。これに対し、なぜかこの平成のご時勢に出てくる前島密(まえじまひそか)侯。「そんな弱気でどうするんだ!」とその郵便局員を一喝!(笑) それに活力を得た郵便局員と郵便局。最後は今までの郵便局が24時間営業、コンビニやクリーニング、その他観光案内などワンストップチャンネルとなり、明るい地域社会になっていくそうな。

あの明治初期に郵便制度を近代化した偉人の前島密を、いくら政権政党だからといってそんなに勝手に自分の党の主張を言わせていいもんかね^^ 私が思うに、いくら彼が開明的でもあくまで明治時代の人だし、民営化なんて言ったら「言語道断!けしからん!郵便制度は国家の礎なんだ!民間なんぞにやらせてたまるか!」とか一刀両断に切り捨てる気もすんねんけど・・^^ そこらへんは前島密研究者の意見を聞かないとわかりませんが。

ま、だからといって民主党の「そしてだれもいなくなった」の紙芝居はかなり悲観的だなと思いました。ちょっと郵政民営化は時間のあるときにまた考えてみたいと思います。

| | Comments (0) | TrackBack (0)