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June 28, 2005

サティ三郷店閉店への考察

私の地元・千葉県流山市の隣に、江戸川をはさんで埼玉県三郷市があります。電車は武蔵野線が唯一走っており、三郷駅が市の中心駅です。この駅のそばにあるサティ三郷店が今月末で閉店となります。この場所に店を構えてから今年まで26年間営業をしてきたそうな。昔はよく私の家族も橋を渡って買い物に行きましたが、最近は全然でした。今回は、私と同い年のこの店が閉店に追い込まれたことに関する(ほんとに勝手な)考察をしてみます。

まずこの店が閉店することになった一番の理由は、郊外にできた大型店舗のイトーヨーカドー三郷店の開店です。4階以上の建物に白壁がキレイな大きな売り場、しかもすぐ隣には大きなシネコンが併設されています。このイトーヨーカドー三郷店の6月上旬の開店と合わせてサティ三郷店は閉店することになりました。

何がサティを閉店させたのか。

(1)モビリティ

現代において、主婦が車を運転して買い物にくるのは日常茶飯事の光景です。重い買い物袋を抱えて歩いている人なんて最近ほとんど見ません。このためたくさんの車を収容できる駐車場をもっていなければなりません。この意味で、昔から駅前にあるサティはそれほど多くの収容能力を持ちません。一応、店舗のまわりに駐車場はありますが、入れる台数はスズメの涙です。となれば、車で買い物に来た人はただでさえ駅前で混んでいるうえに望まない渋滞に巻き込まれる。ただ買い物に来たのに渋滞、というとやはり買い物に向かう足を踏みとどまらせてしまう悪い影響が生まれてしまいます。だったらスムーズに入れる店に行きますな。

また、自動車は「客単価」の増加につながります。自動車での荷物の運搬は、これまで人が物理的に持てる量の限界を超えることができ、徒歩で来る客より多くの商品を購入していく傾向にあります。このため店としては一人の客が購入していく商品の合計額が増加し(=客単価の増加)、非常に望ましいわけです。

たしかに駐車場用地を大きくするとそれにかかる固定費用は増大します。が、このイトーヨーカドーを例にすると、①郊外にあるので土地単価が安い、②駐車場を5階建てにして土地面積あたりの収容能力が高い、という作戦でうまくコストを抑えています。

こうしてみると、今から数十年前には駅前のこれらデパートは、やはり主婦層が自転車で買い物に来ていたところ、その交通手段が自動車に変わったがために、それに対応できる土地や敷地を用意できなかったことにサティ三郷店の苦難が見えてきます。

(2)店内改装

大手の店舗は、一年(もしかして半年?)に一度、店内の売り場の配置換えを行い、店の雰囲気を変えています。これはいつも来てくれる客に飽きられないよう、目先を変えて新鮮な店舗イメージを持たせるためです。これは一見地味ですが、意外と重要な売り場活性化の要素です。

サティ三郷店は、ニチイのときからほとんど売り場の構成が変わっていないようです。これではね・・。

また、やはり壁の色などもどことなく普段行く他のデパートに比べてかすんでいたり、はげていたりとあまりよい印象を持てないものになっていました。他のサティの店はキレイなんですけどね。。

(3)階数

残念ながらサティは2階しかありません。正しくはニチイが2階建てにした、というべきでしょうが。近年のデパートは、やはり階数が多く、それぞれの階が「※※売場」と意図的にわかりやすくしたスタイルに客が慣れているので、この2階の中にいろいろな店を詰め込むのは好ましくありません。また、経営的に店舗の土地にかかる固定費削減という観点からも、「大きな売場面積を持つ低階層」より「売り場面積は小さいけど高階層」が好まれるでしょう。

(4)人口の「中心部」の移動

現在、三郷は武蔵野線が唯一走っており三郷駅がとりあえず市の中心駅として機能しています。ただこの駅は市のわりと北側にあります。そしてここに登場するのが今年8月24日に開業する「つくばエクスプレス」と、その駅である三郷中央駅。この三郷中央駅から終点・秋葉原駅まで約20分で、都心に出るのに非常に便利。柏や松戸に代表される都心のベッドタウン都市は駅の周辺に人口が集中する傾向があるのはおわかりのとおり、今後この駅付近が市の人口の中心になっていくでしょう。しかもこの中央駅からだと新設のイトーヨーカドー三郷店の方が行きやすいというおまけつき。そうすると三郷駅のそばにあるサティの商圏は駅周辺に著しく限定され、従来並みの収益は上げられなくなるのは必至です。これでは経営は続けていけませんわ・・。

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サティ三郷店の閉店は、やはり「時代の流れに対応し切れなかった」部分が大きいと思われます。特にモビリティ、店内改装等によるイメージの演出、という2点はどうしようもなかった。これはこの店だけにあてはまるものでなく、静岡のヤオハンに代表されるような中小規模の食料品・衣料品販売デパートにも共通してあてはまると思われます。今回のように、郊外に立てられたイトーヨーカドーやイーオンのような大型店舗が業界を淘汰する。これは今後も続いていくでしょう。

しかし、これらの企業は「優秀」なんだとも思っています。特に、彼らに共通する「財務諸表」を意識した経営。すなわち、土地などの固定費や必要のないコストを押さえ、収益性を伸ばそうとするバランスの取れた経営は見習うべきなんでしょうね。もはや利益が上がらない三郷店はあっさりと切り捨てる、サティを展開するイーオンのそういう経営姿勢を見ることができると思います。おそらく、かつての日本的経営であれば、イトーヨーカドーが開店してもしばらくの間経営を続けて「やっぱりダメだ」となってから店をたたんでいたはず。当然、この間の三郷店における損失は増大します。ムダに損失を被らない。儲かる他店に資源の投入を行っていく。いわゆる「選択と集中」というやつですな。ここに財務諸表を意識した現代の経営の一端が見える気がします。

・・なぁんとなく、さびしい気がしてきました。

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Comments

コメントありがとうございます。
確かに、私みたいに仕事で立ち寄っただけでは地域の事情はわからないものですね。
ヨーカドーですか。
武蔵野線は交通の便として問題ないでしょうがつくばエクスプレスが来るとは。

モールの出店はヨーカドーよりイーオンが積極的なようですが収益構造ではコンビニとは比べものにならないそうです。
近くに郊外型のダイヤモンドシティがあるのですが客の入りは多くても食料品エリア以外は繁盛してるようには見えません。
「GMS」路線もまだ必ずしも最終的な勝ち組の方法論と言えるかどうかはわからないと思います。

Posted by: muramatsu | June 30, 2005 at 09:22 PM

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